世界各地で事業を展開し、世界情勢の動向にはひときわ敏感な総合商社。4日に発表した各社トップの社内に向けた年頭あいさつから2017年の政治・経済面における注目点をまとめた。

  今月20日に米国でドナルド・トランプ氏が大統領に就任する。伊藤忠商事の岡藤正広社長は「今後トランプ政権の具体的な政策内容が明らかになるにつれて、今のドル高基調や株価高騰が続くのか、それとも反落するのか予断を許さない」との見方を示した。

  三菱商事の垣内威彦社長は、トランプ氏が公約で掲げる政策が実行された場合には経済は活況を呈することが想定されるが、今まで以上に地政学的リスクが高まる可能性もあると指摘。「経済環境の好転と地政学的リスクの増大という矛盾をどのように解決していくのかに注視していく必要がある」とした。

  トランプ政権誕生や英国の欧州連合からの離脱を踏まえ、丸紅の国分文也社長は「世界的に保護主義や自国利益優先主義の流れ、非寛容の流れが広がりつつある」として「この流れの変化は経済・貿易・事業活動など幅広く影響を与える」と指摘。

  今年は欧州でフランス大統領選挙のほかオランダやドイツなどで国政選挙が実施される。双日の佐藤洋二社長は「排他主義の台頭は、世界的に保護主義が広がる可能性を想像させる」として「従来の既成概念にとらわれず、世界の動きを注視していくことが重要だ」と訴えた。

  政治、経済での変化に加えて、あらゆるものがインターネットにつながるIoTや人工知能(AI)、自動運転といった技術革新が与える影響について注目する見方も。住友商事の中村邦晴社長は「さまざまな変化が想定されるからこそ、新たな収益基盤を構築していくチャンス」と呼び掛けた。

  前期(16年3月期)は資源価格の大幅な下落で三菱商事や三井物産が初の赤字決算に陥るなど商社各社の業績は苦戦した。三井物産の安永竜夫社長は「現状に埋没し、これまでの成功モデルに安住していては、変化が常態化した厳しい環境の中で生き残ることはできない」として「強い三井物産の復活」を掲げた。

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