2016年に起きた政治的ショックのインパクトに加え、17年の選挙に備える世界各国の企業は、保護主義台頭のあおりを受け大規模な企業の合併・買収(M&A)に対する意欲を低下させるかもしれない。

  最近のメガディールは国境をまたいで行われる。ドイツのバイエルは米モンサントを買収。スイスのシンジェンタは中国化工集団に買収された。ソフトバンクグループが買収したのは英アーム・ホールディングスだ。だが、17年は米国でのトランプ政権発足や欧州各国での国政選挙でこうした流れが変わる可能性もある。今年注目すべき点を挙げてみたい。

規制

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、16年に総額5800億ドル(約68兆円)余りのM&Aが中止となった。その一部は規制強化が背景だ。米ファイザーは同業のアラガンを1600億ドルで買収しようとしたが、米当局が企業のインバージョン(租税地変換)に関する新たな規制を示し、破談となった。

  エラスムス大学ロッテルダム経営大学院で中国を専門とするイン・チャン副学部長は、トランプ氏が勝利した米大統領選の結果と英国民による欧州連合(EU)離脱選択に伴い米英で保護主義が強まり、その結果、海外の買い手に対する「大きな抵抗」を生み出す可能性があるとみている。

アジア

  資本流出に歯止めをかけたい中国は、国内企業による海外買収の抑制を計画している。事情に詳しい関係者が昨年11月に明らかにした。中国企業は16年だけで海外企業の買収に2000億ドル以上費やした。

  JPモルガン・チェースのM&Aグローバル共同責任者を務めるハーナン・クリスターナ氏(ロンドン在勤)は、中国企業の穴を埋めることのできる日本が「最も大きな越境」M&Aの主役になると指摘。国内の人口減少と景気低迷も、日本企業による海外での成長模索を後押ししていると論じる。

トランプ大統領

  トランプ政権が発足すれば、対中強硬路線が中国企業による対米投資の審査強化につながる可能性がある。外国企業による米企業買収を審査する権限を持つ対米外国投資委員会(CFIUS)のトップを務めるのは財務長官で、トランプ氏はゴールドマン・サックス・グループの元パートナー、スティーブン・ムニューチン氏の財務長官起用を決めた。

  一方で、法律事務所ホワイト・アンド・ケースのグローバルM&Aプラクティス責任者ジョン・リース氏は、米大統領選での「トランプ氏勝利は市場に極めて大きな自信をもたらした。M&Aにとって将来への自信が何より重要だ」との見方を示し、「われわれは17年のM&Aに引き続き非常に楽観的で、16年より活発になると見込んでいる」と話した。

原題:Political Upheavals May Herald Trouble for Megadeals in 2017(抜粋)

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