経団連と経済同友会のトップは2017年の年頭所感を発表し、米国や欧州といった世界の政治経済状況について、それぞれ「保護主義の台頭」「一国繁栄主義的な考えの広がり」との表現で懸念を示し、特に環太平洋連携協定(TPP)については米国を含めた形での早期発効の必要性を強調した。

  経団連の榊原定征会長は、米国の現地事務所を拠点にトランプ新政権や議会との関係を構築し、経済関係の強化を図るとともにTPPについても、「経済的・戦略的意義を訴えていく」とした。

榊原経団連会長
榊原経団連会長
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  同友会の小林喜光代表幹事は、トランプ次期大統領が「TPP協定を批准しないと宣言している」と指摘し、こうした動きについて「自由貿易の拡大を梃子(てこ)に成長を続けてきた日本経済の危機のみならず、世界の分断、ブロック化という非常に危険な状況を招きかねない」との見解を示した。

  政府はTPPを成長戦略の柱と位置付けており、16年12月に国会で承認された。安倍首相は「新政権に対してもTPPの戦略的、経済的意義を粘り強く訴え続ける」と述べているが、トランプ氏は離脱を表明しており発効のめどは立っていない。貿易交渉をめぐっては、日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の合意に向けて調整が行われている。16年中の大枠合意に至らなかったが、日本政府は早期の決着を目指している。

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プレミアムフライデー、原発

  経団連の榊原会長は「GDP600兆円経済への確固たる道筋をつける」として、消費マインド喚起策として毎月末の金曜の就業時間を繰り上げる「プレミアムフライデー」を実施。「働き方を見直しつつ消費を楽しむことを促していく」と表明した。加えて地域経済の活性化、東京五輪・パラリンピックの成功に向けた取り組みも重点課題に挙げた。

  同友会の小林代表幹事は世界の先行きが不透明な中、日本経済は「持続的な成長軌道に乗っているとは言い難い」として構造改革推進の重要性に言及。新事業の創造やベンチャー企業の育成について、「今、われわれがなすべき」ことだとした。このほか、電力コストと温暖化ガス排出を削減する観点から、「原子力発電所の再稼働がこれまで以上に重要な課題になる」とも指摘した。
 

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