米国の民主主義に対する攻撃は2015年夏、単純な手口で始まった。ロシアの民間情報サービスに協力するハッカーが、マルウェアを埋め込んだ電子メールを米政府や政治団体で働く1000人以上に送りつけるという手法だ。

  ロシアは11月の米大統領選挙への干渉を意図としたこのハッキングへの関与を否定している。当選したトランプ氏も懐疑的だ。だがオバマ大統領がこの関与を理由にロシアに制裁措置を打ち出した29日、連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省は「グリズリー・ステップ」と米当局の間で呼ばれるハッカー行為にロシアが関与した証拠として、13ページに及ぶ報告書を公表した。

  報告書によると、ハッカーは電子メールを合法ウェブサイトや米国内の団体や教育機関から送られたものであるかのように偽装する「スピアフィッシング」と呼ばれる手法を用いた。だまされて本文中のリンクをクリックした人々は、民主党全国委員会(報告書で具体的な機関名は伏せられている)や重要人物の電子メールアカウントに侵入する足がかりをハッカーに与え、これが後になって同党のクリントン候補に選挙戦で打撃を与えることになった。

  「ロシアの情報サービスによるこうした活動は、米政府と米国民に対し10年にわたって続くサイバー作戦の一環だ」と報告書は指摘。「米国と同盟国のネットワークを標的としたロシアの悪意あるサイバー工作を特定・探知し分断するため、米政府は必要なツールを備え、ネットワークの防御強化を図る」と続けた。

  報告書に加え、国土安全保障省はロシアのハッカーが利用したとされるIPアドレスやコンピューター・ファイル、マルウェア・コードなどの「シグネチャ」に関する詳細なリストも公開した。

  ロシア大統領府のペスコフ報道官は米政府が下した結論について、「ロシアに対する根も葉もない訴えや嫌疑であり、われわれは何一つ同意できない」と退けた。

原題:Russia’s ‘Grizzly Steppe’ Cyberattacks Started Simply, U.S. Says(抜粋)

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