英国の欧州連合(EU)離脱決定や米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利の話題で持ちきりだった今年、アジアは世界で比較的安定した地域に感じられた。ただ、注意深く見ると、アジアも今年、域内の激動に耐えていた。フィリピン大統領が中国重視姿勢を取り、ソウルでは大規模デモが続き、インドでは高額紙幣の廃止が発表された。

  アジアの首脳が今年残した実績を、各国の経済規模順で振り返ってみた。

中国の習近平国家主席

  習主席(63)は2016年、さらに権力を固めた。共産党の中央委員会第6回総会閉幕後のコミュニケでは党の「核心」と位置付けられ、17年後半の党大会で行われる最高指導部交代を前に権力基盤を強化した。習主席は初めて20カ国・地域(G20)首脳会議の議長を務め、中国は自由貿易と気候変動対策の主要な提唱者だと主張した。

  17年の最大の課題は、通商や台湾関連で強硬姿勢を取るトランプ次期米大統領への対応と、指導部交代を控える中でも中国経済の回復基調を確実にすることだ。

日本の安倍晋三首相

  安倍首相(62)の支持率は、17年の解散総選挙に説得力のありそうな水準で年末を迎えた。総選挙を実施すれば、首相在任期間で戦後最長を記録するチャンスも出てくる。トランプ氏の勝利は安倍首相が推進する環太平洋連携協定(TPP)に打撃を与えたが、安倍首相はロシアとの領土問題で前進を模索し、太平洋戦争開戦の地である米ハワイの真珠湾を訪問して1年を締めくくった。国内ではいずれの動きも評判は良かった。

  17年の最大の課題は対中関係のかじ取りを行いつつ、トランプ氏に日米同盟の重要性を納得させることだ。

インドのモディ首相

  モディ首相(66)はインド政治で数十年見られなかった手法で権勢を振るっている。11月8日には流通する紙幣の86%を廃止すると発表した。これは汚職を撲滅し、国内取引の障壁を減らし、対立が続くパキスタンに対して一段と強硬路線を取るという自らの国家ビジョンを実現するためには多数の国民に苦難を強いることもいとわない姿勢を示した。

  17年の最大の課題は、突然の高額紙幣廃止で成長見通しが落ち込んだインド経済を再生しながら、国内最大の州での選挙を戦い、物品・サービス税(GST)を全国に導入することだ。

韓国の朴槿恵大統領

  アジアの首脳の中で最悪の1年に直面したのは韓国の朴大統領(64)だ。友人の国政介入を許した問題をめぐって退陣を求める大規模デモが数週間続いた後、12月9日に朴大統領の弾劾訴追案が国会で可決された。憲法裁判所が弾劾の合憲性を認めた場合、朴大統領は免責特権を失い、60日以内に大統領選が行われる。首相が大統領の職務を代行している。

  17年の最大の課題は収監を逃れることだ。

フィリピンのドゥテルテ大統領

  ドゥテルテ大統領(71)は6月に就任して以来、麻薬撲滅対策で最高5000人が射殺されたとして国際的な批判を浴びているものの、フィリピン国内では依然として高い人気を保っている。大統領は米国との同盟関係について暴言も交えて繰り返し疑念を呈した一方、中国に接近しており、地政学的変化がアジアを揺さぶっている。

  17年の最大の課題は、経済の好調を維持し政権運営への財界・軍幹部からの干渉を避けながら対米、対中関係のバランスを取ることだ。

原題:Who’s Had the Worst Year? How Asian Leaders Fared in 2016(抜粋)

With assistance from Iain Marlow, Karlis Salna, Sam Kim, Isabel Reynolds, Ting Shi, Anisah Shukry, Norman P Aquino, Hannah Dormido and Adrian Leung.

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