英国の欧州連合(EU)離脱選択や米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏勝利、それに米S&P500種株価指数が1月に急落したことなど、2016年は投資家にはとても静かとは言えない1年となった。ただ、こうした混乱が痛みと共に好機ももたらした。今年の最良、最悪のリターンとなった投資対象を資産クラス別に振り返ってみたい。

通貨

  「ポンド」と名の付く通貨にとっては、受難の年となった。今年最悪のパフォーマンスとなったのはエジプト・ポンドだ。エジプトはドル不足や社会不安懸念に苦しむ経済を安定化させようと、通貨を自由に取引できるようにするための劇的な措置を講じた。英ポンドはEU離脱選択後に急落し、その後も回復していない。

  一方、今年最高のパフォーマンスとなったのが仮想通貨ビットコインだ。中国などでの資本規制や英米での孤立主義台頭で代替通貨への関心が高まり、今年100%を超える値上がりを記録。政府もしくは中央銀行が発行する通貨としては、ロシア・ルーブルが最も大きく上げた。原油相場の回復が寄与した。

株価指数

  最近の混乱にもかかわらず、ブラジル株の指標、ボベスパ指数が今年のベストパフォーマーだ。弾劾裁判で有罪となり罷免されたルセフ前大統領を引き継いだテメル大統領が、ここ1世紀で最悪のリッセッション(景気後退)を終わらせ、政治の安定を実現させるとの期待が背景だ。

  今年最大の値下がりはナイジェリアの株価指数。資本規制が海外からの投資の妨げになるなどし、ナイジェリアはここ20年余りで初のマイナス成長となりそうだ。

商品

  15年は商品強気派にとってかなり荒れた年だったが、今年は値下がりした商品を見いだすのが難しいほどだ。天然ガスの値上がりが顕著で、ここ1年で60%余り価格が上昇した。

  不安定な相場となったが、原油価格も持ち直した。ニューヨーク市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は1バレル=30ドルを下回った後、50ドルを突破。今年は50%以上の値上がりとなった。値下がりしたのは農作物。小麦が13%安、トウモロコシは1.6%下げた。

債券

  今年トップクラスの値上がりはベネズエラの国債だ。資金不足に悩むこの国の社会不安を踏まえれば、少しばかり驚きだ。財政的猶予を得るために政府が債務返済を先送りする取り決めを検討している可能性があるとのうわさから国債が買われた。最悪のパフォーマンスとなったのは、債務危機とインフレ加速に苦しむモザンビークの国債だ。

  米国の高利回り社債について言えば、多くのエネルギー企業債がトップクラスの成績を収めた。原油相場の安定を見込んだ投資家に利益をもたらした。最悪は掘削サービスのサイドワインダー・ドリリングが発行した社債。同社については、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが格下げし、デフォルト(債務不履行)の可能性があると警告した。

  新興市場の社債では、中国の安東油田服務(アントン・オイルフィールド・サービシズ)が最大の値上がり。上海の銀行からの資金調達を増やし、昨年の格下げから持ち直した。

原題:Here Are the Best and Worst Performing Assets of 2016(抜粋)

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