数千億円規模の減損損失が生じる可能性があると発表した東芝株は29日も続落し、7カ月ぶりの安値をつけた。時価総額は1兆円を割る場面もあった。格下げも相次ぎ、資金繰りを不安視する指摘も出ている。

  株価は一時、前日比26%安の232円まで売られ、5月26日以来、7カ月ぶりの安値となった。株価の下落に伴い、12月半ばには1兆9000億円を超えていた時価総額は約9800億円まで半減した。終値は同17%安の258.7円。前日は値幅制限いっぱいのストップ安で取引を終えていた。ブルームバーグの集計データによると、今年2月12日に不正会計発覚後の最安値となる155円を付けている。

会見での綱川智社長(都内、27日)
会見での綱川智社長(都内、27日)
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  27日の発表によると、2015年末に米子会社を通じて買収を完了した原子力発電関連の建設・サービス会社の取得価格と純資産の差にあたる「のれん」が数千億円規模に上り、10ー12月期決算で全額を減損処理する可能性がある。格付投資情報センター(R&I)は28日、東芝の格付けを「BBB-」から投機的等級とされる「BB」に2段階引き下げた。ムーディーズ・インベスターズ・サービスとS&Pグローバル・レーティングも格下げした。

資金繰り

  「資金繰りを強く注視しなければならない局面になった」とSMBC日興証券のアナリスト、伴豊氏らは29日付リポートで指摘した。R&Iの格下げにより、社債市場での資金調達が困難となり、今後4年で2400億円の償還資金が必要となるという。また「金融機関からの借り入れの財務制限条項に抵触する可能性がある」とした上で、資金繰りの懸念が「足元で追い風が吹いている半導体事業の投資に水を差しかねない」と分析した。

  東芝広報担当の槻本裕和氏は「現時点で十分な手元流動性を確保しており、直ちに資金繰りに影響が出ることはないと認識している」と回答した。

  東芝は15年春に発覚した不正会計問題の影響で財務状況が悪化し、家電事業や医療機器子会社を売却し、財務改善に取り組んできた。スマートフォン向けメモリーなどの半導体事業は好調だが、半導体と並ぶ主力分野の原子力事業が再建への足かせとなる。原子力事業は前期にも約2500億円ののれん減損を計上している。

  11月の発表によれば、9月末時点の東芝の株主資本は約3600億円、株主資本比率は7.5%だった。17年3月末の純利益は1450億円と予想していた。

  「実際の損失が分からない中で数千億円という金額が示され、投資家の不安心理がピークに達している。不安心理がぬぐえない中、株価は妥当な水準を模索している」と東海東京調査センターの石野雅彦アナリストは分析した。一方、自己資本や利益水準を考慮すれば上場廃止につながる債務超過の可能性は高くないとし、原子力事業の重要性や半導体の収益性を考慮すれば「存続を前提にした銀行の支援が期待できる」と述べた。

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