日本銀行が公表した12月19、20日の金融政策決定会合の「主な意見」によると、過去の経験を踏まえ、現在の金利水準で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を「相当の期間」続けるべきだとの声が出た。

  ある委員は「大恐慌時の米連邦準備制度理事会(FRB)の早過ぎた出口、日本の早過ぎたゼロ金利と量的緩和の解除などの経験を踏まえれば、2%の物価目標を達成するためには、相当の期間、現在の金利水準で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を続けるべきである」と述べた。

黒田日銀総裁の記者会見(20日)
黒田日銀総裁の記者会見(20日)
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  別の委員は「経済の好循環が続いている現況下において、息長く腰を据えた脱デフレ完遂の取組みに資するべく、現在の金融政策を継続するべきである」と語った。

  日銀は9月会合で、操作目標をマネーの量から長短の金利に変更。短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)のマイナス0.1%を維持する一方で、長期金利(10年物国債金利)は0%程度とすることを決定した。長期国債の年間買い入れ増加ペースは80兆円をめどとし、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続することも表明した。この方針は11月に続き12月の会合でも据え置いた。

長短金利に否定意見も

  「主な意見」では、長短金利操作に否定的な見方も複数あった。ある委員は「指し値オペの実施を早期に余儀なく されたことは、長短金利操作の難しさを裏付けた。国債買い入れを伴わない指し値オペは、実効性が低い」と指摘。さらに「超長期国債の買い入れ増額措置は、長短金利操作の下では国債買い入れのペースが高まるリスクが相応に高いという当初からの自身の懸念を裏付けるものである」と述べた。

  トランプ氏の米大統領選の勝利以降、大規模な財政出動への期待から米長期金利が急上昇しており、国内の長期金利にも上昇圧力が加わっている。急激な金利上昇を抑えるため、日銀は11月17日に新枠組み導入後初めて、中期ゾーンで指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指し値オペを通知。12月14日には超長期ゾーンの国債買い入れ額を増額した。

  もう1人の委員は「10年金利の目標をゼロ%程度とすることに反対であり、望ましい経済・物価情勢の実現に最適なイールドカーブの形状はもう少しスティープであってもよい」と指摘。さらに、「市場では長期金利の0%程度の範囲を±0.1%とみているようだが、レンジはより柔軟であってよい。長期金利はもともと微細な調節に馴染まないため、アローアンスは特に上方向は広めにみておいてよい」と語った。

目を引いた少数派意見

  野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは公表後のリポートで、「ポジティブなショックが起こった時に金融緩和効果が自動増幅していく現在の政策枠組みが想定通りの機能を発揮していることを指摘する意見が多く、枠組み変更を求める意見は少数だった」と指摘。

  少数意見として目を引いたのは、長期金利の「アローアンスは特に上方向は広めにみておいてよい」との見解で、「この考え方が今後執行部・主流派にも共有されるようだと、相場への影響は大きい」としている。
  

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