電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)の過労自殺などをめぐって石井直社長が28日夜、記者会見し、一連の過重労働問題の責任を取って来年1月で辞任すると発表した。

  石井社長は、過重労働について当局から指導があったにもかかわらず抜本的な解決に至っていないとの認識を示し、「経営を預かる身として深く責任を感じている」と述べ、「来年1月の取締役会で社長執行役員を辞任致したい」と語った。代表取締役に関しては、株主への説明責任などを考慮し3月の株主総会まで務めるという。

石井電通社長
石井電通社長
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  記者会見は、高橋さんの過重労働をめぐって東京労働局が同社と同社の社員を労働基準法違反容疑で書類送検したのを受けて開いた。会見はNHKがウェブサイトで中継した。高橋さんは2015年4月に入社し、その年の12月25日に自殺した。

  電通は発表文の中で、高橋さんの自殺に関して外部の法律事務所による調査の結果も明らかにした。それによると、高橋さんは15年10月ごろから業務量が増大して長時間労働の状態にあり、責任感や人間関係などが心理的ストレスになり、それが自殺の原因となった可能性は否定できないとの報告があったという。またパワハラも否定できない行き過ぎた指導があったとの認識も示した。ただ不法行為は認められなかったとの報告もあったという。

  特定の部署や社員に業務の負荷がかかる状況が続いている原因について電通では「過剰なクオリティ志向」「過剰な現場主義」「強過ぎる上下関係」など、独自の企業風土が大きな影響を与えているとしている。また来年1月の取締役会で執行役員の処分を行うという。
  

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE