変動金利ローンの需要が増加しているものの、米国のローン担保証券(CLO)市場は来年、厳しくなりそうだ。トランプ次期米政権が発足する上、リスクリテンション規制が発効するからだ。

  CLO発行を抑制する要因としては、割安な貸付債権を探す難しさに加え、債権の大部分が額面近くか額面以上で取引されている点や運用マネジャーの再編の可能性、CLOが投資家に支払う金額と裏付け債権からの元利金収入とのスプレッドが薄い点などもある。

  2017年のCLO発行額の予想レンジは最高750億ドル(約8兆8200億円)から最低400億ドル。ブルームバーグの集計データによれば、16年は719億ドルで、15年の988億5000万ドルから減少した。金融危機後にはほとんど姿を消したCLOの発行は14年に過去最高の1240億ドルに達していた。

  ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのマネーマネジャーでストラクチャード・クレジット責任者を務めるトレーシー・チェン氏は、「リスクリテンション規制導入後に発行できるマネジャーが減るため、発行は減少する可能性が高いが、米国のCLO市場のセンチメントはかなり良好に見える」と指摘。「マクロ経済成長や財政支出が高まる可能性や、変動利付き商品である点を踏まえると、CLOは最適な位置にある」と付け加えた。

  ウェルズ・ファーゴによると、財政出動や経済成長利回り曲線のスティープ化が企業買収の増加やローン供給を増やす可能性がある。さらに、日欧の金融緩和策で米国のCLOの需要が高まるとJPモルガンは予想する。

  ただ、ブランディワインのチェン氏は、トランプ政権発足が「ワイルドカード(不確定要素)」だと述べ、「地政学的リスクや景気減速リスクが再燃した場合、CLOのリターンも低下する」と指摘する。

  金融規制改革法(ドット・フランク法)の一部として発効するリスクリテンション規制は、過剰なリスクテークを防止するため、証券化を行うマネジャーに一部リスクの継続保有を義務付け、引き受けの強化を狙った内容。同規制の発効に備えてマネジャーはさまざまな資金調達戦略の模索に時間を費やしてきたものの、導入を控えてCLOの供給は幾分鈍っている。ウェルズ・ファーゴによれば、多くのマネジャーが既に来年のリスクリテンション規制導入への対応を取っているが、16年後半に発行されたCLOのうち同規則に対応したものは32%にとどまったという。

原題:Regulations Seen Holding Back CLOs in 2017 Despite Rising Demand(抜粋)

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