日本の消費者物価指数は9カ月連続で下落した。原油価格が上昇基調にある中、下落幅は前月と変わらなかった。消費支出も市場予想に反してマイナスとなり同期間連続で下落。個人消費の低迷が続き、国内需要の弱さが目立つ。雇用関連指標は堅調に推移している。

キーポイント

  • 11月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.4%低下(ブルームバーグ予想中央値は0.3%低下)
  • 11月の家計調査は実質消費支出(2人以上の世帯)が1世帯当たり27万0848円で前年比1.5%減(予想は0.1%増)
  • 11月の完全失業率は3.1%に悪化(予想は3.0%)
  • 11月の有効求人倍率は1.41倍(予想と同じ)

背景

  足元の円安や原油価格の上昇傾向を背景に物価は上昇基調に転換するとの見方が強まるなか、効果が出るのは先と見る向きが多い。消費者物価は生鮮食品を除く食品や宿泊料、外国パック旅行費の伸び率が全体を押し下げ、市場予想を下回った。消費支出は食料や住居の減少が目立った。

  日本銀行は11月1日の金融政策決定会合で、従来、2017年度中としていた2%の物価目標の達成時期は「18年度ごろ」に先送りした。同日公表した経済・物価の展望(展望リポート)では、17年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の上昇率見通しを1.5%としている。

  一方で、日銀が15日に公表した企業短期経済観測調査(短観)の「企業の物価見通し」を、1年後の平均値が0.7%上昇と9月の前回調査(0.6%上昇)から伸び率が高まった。14年3月の統計開始後、前回調査を上回ったのは初めて。

エコノミストの見方

  • 東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは統計発表後、ブルームバーグに対し「国内需要そのものが弱いということだと思う。輸出や生産は持ち直しているが、消費者は財布のひもを緩めていない」と指摘。少なくとも「日銀の言っているようなシナリオにはなっていない」との見方を示した。
  • 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは統計発表後、消費者物価指数は「全体的に弱い感じなので特殊要因ではなく、実力で弱いのではないか」と分析。円安や原油価格の上昇によって「CPIが上がっていくというメーンシナリオ自体は変わらない」としながらも、日銀の来年度1.5%上昇の予測は下方修正せざるをえないと予想する。
  • SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、円安や原油価格の上昇は、17年入り後に日本のインフレ率を押し上げる方向に作用するとみる。その影響がピークになる時期は約1年後で「すぐに押し上げは生じない」という。

詳細

  • 消費者物価指数の全国総合は0.5%上昇(予想と同じ)
  • 食料(酒類除く)とエネルギー除くコアコアCPIは0.1%上昇(予想と同じ)
  • 東京都区部12月中旬速報はコア指数が0.6%低下、コアコアCPIは0.2%低下(予想はそれぞれ0.4%低下、横ばい)

  

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