銀行を公的救済する時代に幕を引くという欧州の壮大な構想は、イタリアの銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナという最初の大きな試練で瓦解(がかい)する危機にさらされている。

  欧州連合(EU)各国の議員らは、破綻にひんした銀行の救済コストを納税者ではなく、投資家に負担させるいわゆるベイルイン・ルールの枠組みを構築。しかしイタリア政府は、同ルールの適用回避を目指している。22日に発表されたモンテ・パスキ救済の概要は、一部に不透明な部分が残っているものの、銀行と国の関係を断とうとするEUの取り組みに逆行していることは明白だ。

  欧州議会のドイツ人議員、スベン・ギーゴルド氏は「イタリアの救済計画はリトマス試験紙だ」と指摘。EUの行政執行機関、欧州委員会が「これを承認すれば、危険な前例を設けることになる。モンテ・パスキは新たに始まる欧州での救済の端緒になり得る」と説明した。

モンテ・パスキのローマ支店
モンテ・パスキのローマ支店
Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg

  EU各国政府は2008-14年に金融セクター救済のため約2兆ユーロ(約245兆円)の公的支援を行った。危機収束後、銀行支援、特に存続可能な銀行への資本基盤強化で公的支援を行う際の要件が厳格化された。

  EUの銀行指令によれば、イタリア政府が予防的な銀行支援を行うためには「同国経済の深刻な混乱を是正」し、「金融の安定性を確保」する上で必要だと示さなければならない。これが認められた場合でも、通常、株主と劣後債保有者に損失負担を義務付ける国家救済規則に従う必要がある。

  イタリア政府は以下のような道筋を計画している。モンテ・パスキのティア1債保有者は額面の75%で株式に転換し、ティア2債は額面で転換。財務省は後に、一部投資家への補償として、株式転換で受け取った株式を優先債に交換する提案を行う予定。

  ジェンティローニ首相はEU当局者らがこの計画に同意していると述べた。しかし欧州委は23日の声明で、「要件が満たされているかの確認でイタリア当局および責任ある監督当局と連携する」とのみ表明した。

原題:Monte Paschi Rescue Pushes EU Bank-Failure Rules to the Brink(抜粋)

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