11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は9カ月連続のマイナスとなった。エネルギーの下落幅が縮小した一方で、生鮮食品を除く食料や外国パック旅行費の伸び率が鈍化した。

  総務省が27日発表した11月の全国コアCPIは前年比0.4%低下した。マイナス幅は前月と同じだった。ブルームバーグがまとめた予想中央値は0.3%低下だった。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.1%上昇と、前月(0.2%上昇)から伸びが縮小した。事前予想と同じだった。

酉の市の買い物客(浅草・鷲神社)
酉の市の買い物客(浅草・鷲神社)
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、「インフレ指標は総じて相当に弱い」と指摘。円安や原油価格上昇は2017年入り後に日本のインフレ率を押し上げ、いずれ持ち直すとしながらも、その影響がピークになる時期は約1年後であり、「すぐに押し上げは生じない」とみている。

  同時に、11月の全国コアCPIと12月の東京都区部コアCPIが示した弱さは、円安などが影響する前の段階の基調部分で「日本のインフレ動向が相当に弱い旨を示唆している」としている。

東京はマイナス幅が拡大

  先行指標の東京都区部12月中旬速報はコア指数が0.6%低下と10カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅は前月(0.4%低下)から拡大した。コアコアCPIは0.2%低下し、前月(横ばい)からマイナスに転じた。事前の予想はそれぞれ0.4%低下、横ばいだった。

  日銀は物価の基調を見る上で、独自に公表するエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIを重視している。同日午後発表した11月分は前年比0.2%上昇と前月(0.3%上昇)比で2カ月ぶりに伸び率が鈍化した。

  ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表後のリポートで、エネルギー価格の前年比での影響は「着実にプラス方向へと向かっている」ものの、「足元は消費自体も低迷しているため、物価は全体として弱めの動きとなっている」と指摘する。もっとも、今後の傾向としては「エネルギーを含むコアCPIは緩やかに低下幅を縮小させるだろう」とみている。

基調変化の可能性も

  日銀の企業短期経済観測調査(短観、12月調査)の企業の物価見通しで、1年後の上昇率の平均値が2014年3月の統計開始後、初めて前回調査を上回った。11月の米大統領選以降、急速に進んだ円安や原油価格上昇を受けて民間の物価予想も底打ちしている。エコノミスト41人を対象としたESPフォーキャストで、17年度のコアCPI見通しは前年比0.73%上昇と前月調査(0.61%上昇)を上回った。

  日次物価指数を公表するナウキャストは21日付のリポートで、10月の日銀版コアCPIが前月から伸び率を強めたことや、為替の円安基調、商品市況や生鮮野菜などの価格上昇が報じられていることもあり、 「物価の基調は既に変化している可能性もある。引き続き物価の動向には注意が必要だ」としている。

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