来年1月20日の就任の準備を進めるトランプ次期米大統領にとって、ありがたくない「都市伝説」がある。第2次世界大戦後に就任した共和党出身の大統領は在任中に少なくとも1回はリセッション(景気後退)を経験するというものだ。

  もちろん俗に言うように、過去のパフォーマンスは必ずしも将来の結果を指し示すものではなく、トランプ氏は在任中に景気の落ち込みを回避できるかもしれない。

  だが、現行の景気拡大局面は間もなく過去3番目の長さを記録する方向で、トランプ氏がホワイトハウスにいる間にリセッションに見舞われるリスクをたやすく否定することはできない。

ホリデーシーズンの買い物客で賑わう米メーシーズ
ホリデーシーズンの買い物客で賑わう米メーシーズ
Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

  米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済アドバイザー、ヨアヒム・フェルズ氏は今月12日付のブログでリセッションについて、「共和党の大統領はどうやら避けることができないようだ」と記した。

  民主党出身の大統領の場合、事情は違う。オバマ大統領は、ジョージ・W・ブッシュ前政権から引き継ぐ形で、政権発足当初6カ月はリセッションの辛酸をなめた。ケネディ大統領の就任直後に米経済はリセッションを脱した。カーター大統領とトルーマン大統領の在任中に米経済はリセッション入りしそれから脱却した。

  それでも、1960年代のジョンソン政権と90年代のクリントン政権の下ではリセッションはなかった。

  クリントン政権時に大統領経済諮問委員会(CEA)メンバー、連邦準備制度理事会(FRB)副議長などを務めた米プリンストン大学のアラン・ブラインダー教授は、学会誌アメリカン・エコノミック・レビューに今年掲載された同僚のマーク・ワトソン教授と共同執筆の論文で、「大統領が共和党出身であるよりも民主党出身である場合の方が、米経済のパフォーマンスは良好だった」と指摘した。

  しかし、両教授によれば、こうした違いは民主党政権下での一段と拡張的な財政政策や緩和的な金融政策によるものではない。むしろ、石油ショックの影響がより穏やかだったことや、もっと良好な国際環境、生産性向上をもたらす技術進歩、より楽観的な消費者といった要因によるものだという。こうした相違点の一部はより良い政策によって説明できるかもしれないが、運による部分もある。

  PIMCOのフェルズ氏は、歴代の大統領がリセッションを回避したり、逆にそれを招いたりする能力を過大評価すべきでないと警告する。結局、景気の浮沈は連邦準備制度が金利変更を通じてもたらすケースが多い

  トランプ氏は選挙戦で、自身の計画によって年率3.5%の成長を実現すると公約した。これは現行の景気拡大局面の2.1%を大きく上回るものだ。ただ、共和党政権下のリセッションをめぐる記録を否定することはできない。異例づくめの次期大統領として、トランプ氏が成功を収めるには、これも打ち破らなければならない同党のもう一つの「伝統」なのかもしれない。

原題:Trump Needs to Thwart Recession-Prone History of GOP Presidents(抜粋)

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