次期米大統領のドナルド・トランプ氏は長年にわたり、銀行と取引する際に強力な武器を活用していた。それはトランプ氏の個人保証だ。

  個人保証はトランプ・オーガニゼーションが数億ドルの融資を受けるに当たりよりよい借り入れ条件を引き出すためだったが、これが今やドイツ銀行との難しい融資再編交渉で中心的な問題となっている。同行に対して米司法省がいくつかの点で捜査を進めていることも問題を複雑にしている。

  事情に詳しい関係者によると、トランプ氏はドイツ銀行から約3億ドル(約350億円)の借り入れがある。この融資と大統領としての地位の利益相反を低下させる試みの一部として、ドイツ銀は融資の一部を再編しようとしている。通常、個人保証がなくなれば融資条件は厳しくなるが、両者の関連性は通常の水準ではない。

  トランプ氏が任命する司法長官は、ドイツ銀がロシア富裕層向けに行った株式取引の疑惑をめぐる捜査や住宅ローン担保証券の販売に関連した多額の罰金を伴う取引を引き継ぐ可能性がある。ロシアはトランプ氏が関係改善を目指す相手でもある。

  こうした状況に倫理学者は懸念を示す。ミネソタ大学法学教授でジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)の倫理担当主任弁護士を務めたリチャード・ペインター氏は「大統領が多額の資金を借り入れている銀行に対し、大統領が任命した人物が決定を下す。ひどい状況だ」と指摘。「米政府は大銀行と常に規制面や刑事捜査でやり合う。大統領に銀行から多額の借り入れがあれば、銀行に対する規制や法執行を甘くしようとするインセンティブが働く可能性がある」と続けた。

  ドイツ銀行はコメントを控えた。トランプ・オーガニゼーションのアラン・ガーテン相談役は、トランプ氏の企業帝国の規模から考えれば融資額は小規模で、プロジェクト完了後に通常の債務になるよう融資が設計されているため個人保証を取り除くことは大きな問題ではないと語った。

原題:Deutsche Bank Is Reworking Big Trump Loan as Inauguration Nears(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE