トランプ次期米大統領はまだ就任してもいないのに、既に景気を押し上げてくれた。ここで言っているのは日本経済のことだ。気がめいるような発表が続いた1年の終わりに、日本銀行は景気判断を上方修正した。大部分はトランプ氏のおかげだろう。

  日銀のムード改善の主因は、輸出を押し上げる円安だ。そして、円下落の主因はドル上昇。ドル高は、トランプ次期政権に期待される減税や新たなインフラ投資を一部反映している。これらが米国の公的借り入れを増やし、追加利上げを加速させるものだからだ。

  もちろん、日銀の楽観は従来と比較してのものだ。政府の来年度の成長率見通しは1.5%と、これまでの予想の1.2%から引き上げられたが、お世辞にも目を見張る水準とは言えない。それでも9月時点ではマイナス金利の状況下でも経済が反応せず、先行きはさらに暗そうだった。

  景気判断を上方修正したものの、日銀は超緩和的な金融政策を維持する方針としている。短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)をマイナス0.1%、長期金利(10年物国債金利)を0%程度でいずれも据え置くほか、国債購入や指数連動型上場投資信託(ETF)などの資産買い入れも維持する。

  4年近い量的・質的緩和の下でもインフレ率は相変わらずゼロ近辺で、日本の本格的な景気回復はまだまだ先。だが、低成長のわなを抜け出すのに大きく物を言うのは信頼感で、どんな小さなことでも役立つ。

  また、こんな考え方もあるだろう。トランプ政権の財政をめぐる思惑が日本経済の見通しにつながるという関係性は、純粋な国内経済政策の限界をタイムリーに思い起こさせてくれるものだ。各国・地域の経済は、モノや資本のグローバル市場を通じて微妙に、そして時には予想できない風につながっている。このため、米国の内需拡大で起こり得る副作用は通貨高による輸出競争力低下になるかもしれない。

  まあ、これは必ずしも問題ではない。誰かが不公正な貿易慣行だと他国を責めるという状況が起きない限りにおいて。

原題:Trump’s Budget Promises Help Make Japan Normal Again: Editorial(抜粋)

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