日本株市場の売買の7割を支配する海外投資家は例年、12月25日のクリスマスに合わせ休暇に入る向きが多く、この時期の売買代金は前後と比較して減少傾向だ。11月以降の「トランプラリー」で相場が盛り上がったことしも同じ道をたどるが、休暇明け後の海外勢の動きについてはここ数年と異なるシナリオが市場関係者の間で期待されている。

  12月1週(5ー9日)の東京証券取引所1部の1日平均売買代金は2兆9995億円、2週(12ー16日)の2兆8834億円に対し、3週(19ー22日)は21日までで2兆3007億円と前の週から2割以上減っている。昨年12月も1週の2兆4381億円、2週の2兆3305億円、3週の2兆7153億円に対し、クリスマスを含む4週は2兆36億円と前週比で26%減少した。

  海外投資家の不在が市場全体の売買代金減少に直結したことは、東証が公表する投資部門別売買動向のデータから顕著だ。海外勢の総売買代金(東証1・2部、マザーズ、ジャスダック合計)は昨年12月2週に15.9兆円、3週に19.2兆円だったが、4週は10.5兆円に急減。ことしは11月5週が20兆円、12月1週が19.2兆円となっており、1部売買代金の推移をみる限り、ここ2週間は減少方向にある可能性が高い。

金融端末前のトレーダー
金融端末前のトレーダー
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  東海東京調査センターの仙石誠マーケットアナリストは、「例年のパターンだと、今週は海外勢のフローが落ち込むのは必至」と指摘。米国の大統領選後に日本株を2兆円強買い越すなど、「存在感の大きかった海外勢がいったん手を引くことで株高の勢いも鈍る」とみている。

  もっとも、トランプ次期米大統領が打ち出す大型減税や大規模なインフラ投資など積極財政策が今後の米景気を刺激し、世界経済にも好影響を及ぼすとの期待感は強く、海外投資家は早ければクリスマス休暇明けにも日本株投資を再開するとの見方がある。

  アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長は、「来年2月の米国予算教書の公表くらいまでは、トランプ政権への期待に根差す株式買いが続く」と予想。米国株は、利上げやドル高のマイナス面が意識される可能性がある半面、「円安の恩恵を受ける日本株には海外投資家の買いがもうしばらく続く」とし、日経平均株価は年明けに2万円の大台回復を目指すとの見通しを示す。

  米ゴールドマン・サックス・グループの調べでは、10月末時点で国際株式型投資ファンドの日本株ウエートは7.2%のアンダーウエートだった。一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの世界のファンドマネジャー調査によれば、12月のグローバル投資家の日本株配分比率は前月のマイナス5%のアンダーウエートからプラス21%のオーバーウエートに急伸、26ポイントの上昇幅は過去最大だったという。アベノミクスへの評価が高まっていた14年には、プラス40%を超すアウトパフォームの状況もあった。

  過去3年にわたり、海外投資家はクリスマスを通過した年明けに日本株への売り姿勢を強めた。1月の日本株の現物売買動向をみると、16年が1兆556億円の売り越し、15年が8932億円の売り越し、14年が1兆1696億円の売り越し。特に原油安による資源国経済への懸念、低調な米国や中国経済統計への警戒があったことしは、2月と3月にもそれぞれ2兆円弱売り越し、この影響で日経平均は年初の1万8900円台から2月12日の1万4800円台へ約4000円急落した経緯がある。

  来年初を見据えれば、原油価格は反発し、米経済統計は良好、中国景気への過度な警戒は薄れており、今年初のような海外勢売りで日本株が崩れるシナリオは描きにくそうだ。アムンディの浜崎氏も、年末以降の日本株堅調を想定。「米大統領選後の予想外の円安で自動車や精密機器、電機といった輸出関連、日米長期金利上昇の恩恵を受ける金融セクターに妙味がある」と話している。

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