債券相場は上昇。この日に実施された流動性供給入札が強めの結果となったことから、買い優勢の展開となった。日本銀行の黒田東彦総裁が前日の会見で金利上昇抑制に取り組む姿勢をあらためて示したことも相場を支えた。

  21日の長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比2銭高の149円75銭で開始。一時149円70銭まで下げたが、流動性供給入札の結果を受けて買い戻され、149円83銭まで上昇。結局は8銭高の149円81銭で引けた。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.07%で開始したが、午後は0.06%まで買われた。新発20年物の159回債利回りは1bp高い0.575%まで売られた後、0.555%に低下。新発30年物の53回債利回りは1bp高い0.675%を付けた後、0.66%まで切り下げている。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「流動性供給入札の結果がやや強めということで、先物中心に10年以下のゾーンを強くするような動きがある」とした上で、「昨日の日銀会合はハト派的な内容で買い安心感もある」と指摘。「年内の材料は出尽くし、フラットニングした位置で固まっている」と付け加えた。

  20日の米株式相場は続伸。ダウ工業株30種平均は2万ドルの大台乗せに迫る場面も見られ、終値では過去最高を更新した。一方、米国債相場は下落。10年債の利回りは前日比2bp高い2.56%程度となった。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは、「外部環境を別とすれば、国債の発行と日銀オペのスケジュールで動いている部分があり、月末にかけてはあまり売る理由がない」と指摘。一方で、「日銀のサポート姿勢は昨日の段階である程度確認されたが、かといってどんどん金利低下を見越すような状況ではない」とし、「日銀が金利上昇を抑えてしまうが故に投資家が買える水準まで上がってこない」面があると説明する。

流動性供給入札

財務省
財務省
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  財務省がこの日に実施した残存期間5年超15.5年以下を対象とした流動性供給入札の結果は、募入最大利回り較差がマイナス0.003%、募入平均利回り較差がマイナス0.006%となった。投資家需要の強弱を示す応札倍率は3.61倍と、同年限の前回入札時の3.14倍から上昇した。

流動性供給入札結果はこちらをご覧ください。

  日銀は今週に開いた金融政策決定会合で、9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決定した。黒田総裁は会合後の会見で、2%物価目標の達成は「まだまだ遠い」と述べ、長期金利と短期金利の操作目標の引き上げについて「具体的に議論するのは時期尚早かなというふうに思っている」と言明。今は目標達成に向けたイールドカーブ形成を促すため強力な金融緩和を推進していくことが最も適切だと語った。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「黒田総裁があらためて物価の先行きが不透明な現状では、金融政策を変更する考えが当面ないことを示した点は、今日以降の債券市場にとって潜在的な買い安心感につながるだろう」と指摘した。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE