東京証券取引所市場第1部の上場企業数が21日、2000社に増えた。上場制度変更にアベノミクスの株高が追い風となり、2部から1部への指定やマザーズなど新興市場からの市場変更、新規株式公開(IPO)が活発化し、13年からは増加ペースが加速している。

  21日にマザーズからビジョンショーケース・ティービーの2社が東証1部に市場変更し、国内企業の上場社数はちょうど2000社になった。昨年末時点は1934社だった。ことしは2、3年前から上場観測が出ていたLINEのほかJR九州など計8社が東証1部に直接上場した。一方で、債務超過に陥ったシャープが2部に指定替えとなり、1部から去った。

  東証は人口減少やデフレ長期化などに対応し、中堅や中小企業のIPOを活性化するために2012年3月から本則市場の上場審査基準を見直した。従来は1000億円以上だった時価総額を500億円以上としたほか、経常利益額も2年間総額5億円以上へ基準を緩和した。日本取引所グループ(JPX)では、上場基準が低くなる中、アベノミクスによる株価上昇も後押しする格好で資金調達などに対する企業の不安が後退したのではないかと分析する。

7月にはLINEが上場
7月にはLINEが上場
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  JPXによると、東証1部企業数は1983年に1000社を突破し、2003年には1500社を上回った。08年から10年まで3年連続で減少した後、11年以降は毎年増加。年間増加数は13年79社、14年84社、15年76社と、13年以降は毎年70社を超える増加ペースとなっている。近年は2部から1部に移る企業が最も多い。

  TOPIXは12年6月に692ポイントとバブル経済崩壊後の安値を付けた後は反転し、安倍晋三政権の経済政策への期待から13年以降は一段と上昇傾向が強まった。15年8月には1702ポイントと8年ぶりの高値を付けた。

  東証1部は年内には1部指定や市場変更で日華化学など5社が加わった後、共同株式移転方式による統合などで ティー・ワイ・オーやAOI Pro.など3社が上場廃止となる予定。20日時点で年末の社数は2002社になる見込みだ。

  アセットマネジメントOneの柏原延行運用本部調査グループ長は、「東証1部は日本を代表する企業の集合で、日本企業全体の利益のドライバー。安定した利益を生み出すカテゴリー」とした上で、「世の中が変化する中で、新しい分野にチャレンジする企業が増えていくのは歓迎だ」と述べた。近年は上場銘柄の最低投資金額も低下しており、「社数が増えれば分散投資の機会も増える」との見方を示す。

  柏原氏は、上場の意義について「人工知能(AI)や自動運転など新しい技術の黎明(れいめい)期である今は、投資のための資金調達能力がなければ国際競争力を失う。上場によってさまざまな意味での成長機会を捉えることができる」と指摘。半面、東証1部に入ってくる企業は「投資家保護も求められる。粉飾決算など上場企業として最低限の基準を満たしていない企業が増えると困る」とくぎを刺す。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE