自動車市場で世界最大の中国では、魅力的な車なら売り上げ倍増も可能だ。ホンダは人気車種を現地合弁2社でほぼ同時期に発売することで現地ユーザーの心をつかみ始めた。来年は市場成長を上回る販売拡大を見込んでいる。

倉石誠司氏
倉石誠司氏
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  「1足す1が2になるんだろうかと思いながら始めたが、予想以上の結果となった」-。ホンダの倉石誠司副社長は、同一モデルを現地合弁2社で生産・発売する「兄弟戦略」が今の販売好調につながったと考えている。2007年にホンダの中国有限公司副総経理となって以来、現地の政策変更や尖閣諸島問題による反日不買運動に悩まされながら、現地市場に合った商品投入の方法を模索してきた。

  これまで人気車種投入では、現地の東風ホンダ、広汽ホンダのどちらで発売するかが課題だったが、14年にSUV「ヴェゼル」を双方から出す決断をした。広汽ホンダからはヴェゼルとして、東風ホンダからは仕様を変えて「XR-V」の名前で発売した。これがモデル投入の迅速化につながり、グローバルモデルを投入しながら、もう一方で中国の嗜好を取り入れられるなど効果が大きかったと倉石氏は振り返る。同一モデルのため開発費の低減も可能になった。

  兄弟戦略はヴェゼルのほか、ミニバン「オデッセイ」、小型車「シティ」でも展開しており、倉石氏は来年、広汽ホンダから発売予定の中国向けSUV「アヴァンシア」でも2社からの投入を計画していると語った。新車効果もあり、来年は市場成長予測7%を上回る販売を見込んでいるという。ホンダの中国販売は今年、過去最多の120万台を超える見通し。

  ホンダの1ー11月の中国販売は前年同期比28%増。発売から2年となるヴェゼルとXR-Vは、それぞれ同52%増、47%増と好調が続いており、政府の減税対象となっているシティ(広汽ホンダ)は同82%増で、兄弟車となるGREIZ(東風ホンダ)は52倍となっている。

減税措置終了

  今年末に税率が変わる小型車減税について倉石氏は「大きな影響はない」と述べた。中国政府は、15年10月から小型車を対象とした減税措置をとっており従来10%の税率が5%に引き下げられていた。減税期間は今年末までだったが、政府は減税措置の延長を決めたため来年1月から1年間は7.5%への引き上げにとどまる。倉石氏は、ホンダの中国販売のうち小型車の比率は約38%にとどまっており、減税対象ではないアコードなども好調だという。

  全国乗用車市場情報連合会(乗連会)によると、今年1-11月の乗用車販売台数は2110万台。15年全体の2060万台を既に上回っていることから、減税終了を見込んで需要の先食いもあったとみられている。

  ホンダは今月8日、中国武漢市に年産能力12万台の新工場を建設すると発表した。稼働は19年前半で投資額は約30億元(約500億円)。ホンダの現地生産能力は、輸出専用工場と合わせて年125万台となる。

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