政府は2年ごとの薬価改定を毎年に増やすなど制度の抜本改革に向けた基本方針を決めた。市場実勢価格を適時に薬価へ反映し、国民負担の抑制を目指す。

  塩崎恭久厚生労働相は20日の会見で、閣議後に厚労相、財務相、官房長官ら4人で基本方針を確認し決定したとし、次回の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)に報告すると話した。これまで2年ごとだった薬価調査は全品対象に毎年実施する。全品目の価格を細かく見直す従来改定に加え、隔年で対象を大手卸業者などに絞った取引価格を調査し、その際は定価と実勢価格のかい離が大きな品目に限定し改定する。具体的な基準は来年中に決める。2018年度は2年ごとの改定年となっている。諮問会議では民間議員から全品対象に毎年薬価調査と改定を行うよう提案していた。

  また、適用疾患の追加で対象患者数が急増した小野薬品工業の新型ガン治療薬「オプジーボ」のように、急激な市場拡大があった医薬品については年4回、薬価の改定を可能にする。塩崎厚労相は会見で、オプジーボや米ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬を例に「革新的だが大変高額な医薬品が登場しており、現在の薬価制度が柔軟に対応しきれていないという指摘を種々もらった」とし、高齢化で医療費が増大する中、国民負担の抑制を目指す仕組みづくりに意欲を示した。
 
  これに先立ち、政府は11月、高額批判を受けているオプジーボの価格を2年ごとの薬価改定時期を待たずに来年2月から半額に引き下げることを決定している。16年度当初予算では、総額96.7兆円のうち3分の1を社会保障費が占めた。

  医薬品セクターは東証業種別株価指数で、19日までの年初来に12%安と下落率2位になっている。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「これまで薬価改定議論の詳細が分からない不安感から全体に下がっていた」と指摘。その上で「改定頻度が上がると薬価下落のスピードが速まる。制度改正は製薬株にとって利益圧迫要因であり、ネガティブだろう」と述べた。

  日本製薬工業協会など業界4団体は11月30日、薬価改定の毎年実施に「断固反対する」との共同声明を発表した。同協会副会長の手代木功・塩野義製薬社長は、8日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「国民皆保険制度は重要で財源に限りがあることは理解しているが、われわれも上場企業である以上、株主らステークホルダーに説明できない突然のルール変更は好ましくない」と述べ、「われわれの立場を説明するためにも、ルールづくりの過程でオープンな議論の場をつくってほしい」と話した。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE