ロシアの駐トルコ大使が19日、トルコの首都アンカラで銃撃され死亡した。シリアの内戦に関連した暗殺とみられている。

  ロシア外務省によれば、ロシアの駐トルコ大使アンドレイ・カルロフ氏はアンカラの美術展に出席中、背中を撃たれ、その後死亡した。銃撃した男は今月ロシアが支援するシリア政府軍によってイスラム系反政府勢力の大部分が制圧された「アレッポを忘れるな」などと叫んだ。男は22歳の現役警察官で、警備隊によって殺害された。男が組織と関係があったかは捜査中だとトルコのソイル内相は説明した。

  ロシアとトルコは今回の大使銃撃事件をシリア内戦で対立する国々の間の新たな火種としたくない考えを示した。ロシアのプーチン大統領はテレビ演説で、大使殺害はシリアの和平とトルコとの関係正常化を追求する動きを台無しにすることを狙った「あからさまな挑発」だと非難し、両国間の協力強化で対応すると述べた。トルコのエルドアン大統領は、事件を共同で捜査すると表明した。

  ロシアはシリアのアサド政権を支持して昨年から内戦に関与している。アサド政権はかつて最大都市だったアレッポを数日前にロシア軍による空爆支援を受けほぼ制圧していた。トルコはアレッポを含むシリア国内の反政府勢力を支援しており、反政府側の戦闘員や一般市民の避難に関する交渉でロシアとともに重要な役割を果たしていた。

安全資産に需要

  トルコ・リラは銃撃事件を受けて対ドルで0.8%値下がりした。大使暗殺で安全資産需要に拍車が掛かり、米国債利回りは19日に一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。

  プーチン大統領は大使殺害について電話でエルドアン大統領と協議したことを明らかにした。プーチン大統領は捜査に加わる調査団をロシアから派遣すると述べ、トルコ政府にロシアの外交公館の安全確保を期待すると表明した。

  トルコとロシアの外相は20日にモスクワで、イラン外相とともにシリア内戦について協議する予定。

  大使殺害事件とは別に、アンカラにある米国大使館の入り口付近では男が銃を発砲し、トルコ当局に身柄を拘束された。米国務省当局者が匿名を条件に明らかにした。この事件で負傷者はいないという。

  北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコと同盟関係にある米国のケリー国務長官はロシア大使殺害を非難するとともに、米国には捜査を支援する用意があると声明で表明。中国の王毅外相は「野蛮なテロ行為」と指摘し、ロシアのテロ取り締まりの取り組みを支持した。

原題:Russian Ambassador Killed in Turkey by Gunman Invoking Syria (2)(抜粋)

銃撃前のカルロフ駐トルコ・ロシア大使
銃撃前のカルロフ駐トルコ・ロシア大使
Photographer: Ecenur Colak/Anadolu Agency via Getty Images
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