ドイツ銀行のストラテジスト、オリバー・ハービー氏にとって、為替相場はポンド弱含みのモメンタムに戻りつつある。

  ハービー氏は19日付の投資家向けリポートで「政治動向がポンド取引を複雑にするのは間違いないが、実効為替レートを基に考えると再びポンド売りのポジションを組むことはリスクの割にかなりの利益を狙えるチャンスがある」と指摘、ポンド売りの理由として以下の五つを挙げた。

金利スプレッド

  米国債と英国債の利回り格差は2000年5月以来の大きさに拡大している。ハービー氏は「金利差を考慮すると、1カ月前とは対照的にポンドはもはや割安ではない」とし、2年債のスプレッドを基にするとポンドの「適正価格」は1.20ドル未満だとの見方を示した。

政治リスク

  英政府が欧州単一市場への自由なアクセスよりも移民制限を優先させると示唆した10月、ポンドと英国債は急落した。ハービー氏によると、それ以来投資家は同国の短期的な景気見通しに楽観を強めてきたが、政治が再び注目されるとこれが逆回転する恐れがある。

  「来年上半期に欧州の政治日程が極めて立て込んでいる(オランダ、フランスに加えイタリアでも選挙実施の公算がある)ことを考えれば」、英国の欧州連合(EU)離脱交渉の初期ははかどらない可能性があると同氏は懸念した。

資本の流れ

  ハービー氏は実質英国内総生産(GDP)成長率が来年低下すると予想されていることから、外国人の買いは間もなく失速する恐れがあるとみている。国際通貨基金(IMF)は2017年の英GDP見通しを1.1%とし、今年の推定値1.8%から減速すると予想している。

適正価格

  「一般的に信じられているほど、ポンドのバリュエーションに大きな割安感はない。実際に当社の購買力平価モデルでは、ユーロに対し今やポンドは割高であることが示唆される」とハービー氏は指摘、企業利益や政治が厳しい方向に向かえば下落リスクがあることを強調した。

中国の売り

  ポンドは人民元安の影響も受けやすい。資本流出圧力にさらされた中国の外貨準備は11月に700億ドル(約820億円)減り、1月以来の大幅な減少を記録した。

  中国政府は外貨準備の構成を明らかにしていないが、ハービー氏は全世界外貨準備で第3位の地位にあるポンドがかなりのシェアを占めているとみる。「ポンドは中国の外貨準備で大規模なシェアを占めているため、資本流出の期間にわたりポンドはアンダーパフォームしている」と語った。

原題:Deutsche Bank’s Five Reasons Why the Pound Is Overvalued(抜粋)

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