公正取引委員会は19日、石油元売り2位の出光興産による昭和シェル石油株の取得と、1位のJXホールディングス東燃ゼネラル石油の経営統合を承認すると発表した。

  この承認を受け出光は英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)から議決権ベースで昭シェル株31.3%を取得したと発表した。出光は従来、同33.3%の取得を予定していたが公開買い付け規制の趣旨を最大限尊重するため取得株数を減らした。同社はRDSからの株式取得後に昭シェルとの合併を計画していたが、出光昭介名誉会長ら創業家がこの計画に反対しており実現は難しくなっている。

  出光の小林総一・広報CSR室長は「両社の統合に向けた大きな一歩」としたうえで、形式的な持ち分法適用会社を目的とはしておらず「一つのステップ」と話した。今後も創業家と協議し、昭シェルとの統合を目指す方針だ。

  公取委の発表文書によると、出光の昭シェル株取得やJXの東燃ゼネとの経営統合で液化石油ガス(LPG)やガソリンなど石油製品の販売で問題が生じることを懸念。各社が問題に対応する措置を提示したことで計画を承認した。

  LPG元売り業界では、東燃ゼネと昭シェルが「ジクシス」に、JXは「エネオスグローブ」と「ジャパンガスエナジー」、出光は「アストモスエネルギー」に出資。公取委経済取引局の山田昭典局長は都内で会見し、両計画が実現するとLPG元売り4社の間で「協調的な行動が起こりやすく、カルテルまがいの行動が起こることが懸念される」と指摘した。

  これに対応するため、昭シェルはジクシスへの出資比率を25%から20%程度に引き下げるほか、東燃ゼネは保有している25%のジクシス株をすべて他社に譲渡することなどを申し出た。

  ガソリン、灯油、軽油、A重油など石油製品の流通では元売りの数が減少することや、元売り各社間で他社の卸売り価格などの情報を入手しやすい環境があることを問題視。山田氏によると「協調しやすい事情がある」という。

輸入に障壁

  元売りが販売する製品と市場で競合することになる輸入品については障壁が存在すると指摘。輸入する事業者に石油製品の備蓄義務が課せられていることや、輸入時に利用可能な桟橋や貯蔵タンクが限定されていることから輸入品による価格下落圧力が働きにくくなっている。公取委の調査では、輸入を行うことで競合してしまうことから、元売りから多く製品を調達している事業者が輸入をためらう傾向があることも判明したという。

  元売り各社は商社などによる輸入を促進させるため、保有する原油や石油製品の在庫を活用した備蓄義務の肩代わりを申し出た。元売り各社以外の事業者の輸入量が国内需要の10%になるまでは備蓄を肩代わりすることになる。さらに、輸入したことを理由に事業者に不利益を与えないことを周知し公取委にも確約するという。

  山田氏は輸入を促進させることで「費用構造が異なる輸入品が一定規模国内に入ってきやすくなる」とし、「競争圧力となって元売り会社による協調関係が生じることを回避しやすくなる」と話した。

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