債券相場は超長期ゾーンを中心に上昇。年内の主要な国債入札が一巡して需給環境の良さを背景に買いが先行した。一部で長期金利の操作目標水準が引き上げられるとの懸念が出ていたが、日銀が金融政策の現状維持を決めたことで買い安心感が広がったとの見方も出ていた。

  20日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比4銭高の149円64銭で取引開始。日銀会合結果を受けて、午後は水準を切り上げて寄り付き、一時149円83銭まで上昇。結局13銭高の149円73銭で引けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、午後に相場が堅調となったことについて、「日銀決定会合の結果は予想通りで、海外市場の流れを引き継いだ買い戻しの動きが全般に強まっている。積極的に動くというよりは、これまでの流れでたまっていたものが買い戻されている」と説明。「黒田総裁会見で驚きの発言がなければ、債券相場は戻り基調」だと述べた。

  日銀は金融政策決定会合で、9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決定した。長期金利を「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)を「マイナス0.1%」といずれも据え置いた。ブルームバーグがエコノミスト39人を対象に実施した調査によると、全員が政策の現状維持を予想した。

日銀金融政策決定会合の結果はこちらの記事をご覧下さい。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.07%で開始。一時0.06%と14日以来の水準に下げたが、その後は0.07%で推移した。

  超長期債が堅調。新発20年物の159回債利回りは2bp低い0.57%まで低下し、新発30年物の53回債利回りは2.5bp低い0.67%を付けた。

  週明け19日の米国債相場は上昇。米10年国債利回りは前週末比5bp低下の2.54%程度で引けた。ロシアの駐トルコ大使がトルコの首都アンカラで銃撃され死亡し、安全資産として米国債の需要が高まった。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が午後に講演し、米労働市場の先行きへの楽観を示したことを受けてやや売られ、上げ幅を縮小した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「FRBのタカ派サプライズの影響が一巡しており、年内大きなイベントも控えていないことから、年末年始の超長期ゾーンに償還資金が入り込みやすい」と指摘した。

  今月は21日に流動性供給入札、27日に2年利付国債入札が予定されているが、主要な長期や超長期ゾーンは来年1月5日の10年債入札までなく、需給環境が改善している。みずほ証券の山内聡史マーケットアナリストは、「海外金利の低下に加えて、長いゾーンは年内の入札がないという需給的な要因もある。超長期ゾーンを中心に全年限ともしっかりだ」と話した。

日銀決定会合

黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  黒田日銀総裁は午後3時半から、今回会合の決定内容を踏まえ、記者会見を行う。今回は景気判断を上方修正した。先週は米金利上昇や円安進行を受けて、長期金利が0.10%と1月以来の高水準を付けた。これらに総裁がどのような説明や言及をするのかが注目されている。

  野村証の松沢氏は、「にわかに市場の焦点となっている10年金利目標変更については言及を避けるだろうが、最近の円安・金利上昇の評価が焦点だ」と指摘。「日銀が最近指値オペや超長期債オペ増額など金利上昇を抑える措置を取っていることを重んじて、早過ぎる金利上昇をいさめる発言をするのか、金利は景況回復を反映しており、年初の水準に戻ったにすぎない点を強調するのか」だと言う。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE