ドナルド・トランプ次期米大統領が掲げる積極財政策、いわゆる「トランプノミクス」が実現した場合、米国と日本の産業界にどのような影響が及ぶのか。野村証券では、「商業」「自動車」「一般機械」などに恩恵が集中するとみている。

  野村証券の岡崎康平エコノミストが16日付のリポートで、経済産業省の「日米国際産業連関表」(2005年)を使って測定した。トランプ氏の政策が実現すると、「少なくとも短期的に米国経済は加速する可能性が高い」と指摘。米国内での経済効果がかなり大きく、日本の産業まで波及する規模は相対的に小さいものの、米国でどの政策が取られた場合でも日本の「商業」「自動車」「一般機械」が好影響を受けやすい、と同氏は分析する。

トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領
Photographer: Albin Lohr-Jones/Pool via Bloomberg

  「トランプノミクス」は家計消費や企業の設備投資、公共投資を刺激する政策で、具体的には所得税減税、法人税減税、インフラ投資などの可能性が注目されている。野村証の分析によれば、米国の減税やインフラ投資額の規模が同じだった場合、日本の産業全体が受ける恩恵で一番大きいのは法人減税で、これにインフラ投資、家計減税が続く。

  日米国際産業連関表を使って試算したのは、米国の最終需要が1万ドル増加した際、各産業が生み出す付加価値だ。民間設備投資のケースは、米国では「建築・補修」が1857ドル、「商業」が1056ドルで、日本では「商業」が38ドル、「自動車」32ドル、「一般機械」23ドルとなった。家計減税のケースは、米国で「不動産」が1667ドル、「商業」1166ドル、「医療・保険」1070ドルとなり、日本は「商業」12ドル、「自動車」10ドル。公共投資のケースは、米国で「土木建設」が2588ドルと最も大きく、日本では「商業」23ドル、「自動車」12ドル、「一般機械」11ドルと同じ顔ぶれが上位に並んだ。

  日本で好影響を受ける産業が特定の業種に集中しているのは、「経済効果が輸出を通したものになる点、中でも競争力が高い産業で効果が出やすい点」だと岡崎氏。日本にとって法人減税の効果が最も大きいのは、「日本の産業が特に資本財に強みを持つ」ためとしている。

  野村証の米国経済チームは11月23日、トランプ氏の経済政策について一定の前提を置いた上で、米経済の成長率予想を2017年は前年比1.9%増から2%増、18年は1.6%増から1.8%増にそれぞれ上方修正した。

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