年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」は、国内外の株価が底入れし、円高に歯止めがかかった7-9月期に日本株を122億円買い越した。日本銀行が19日公表した資金循環統計で分かった。

  同統計の資料によると、GPIFや国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団、年金特別会計などの公的年金は日本株を5四半期連続で買い越し、9月末の保有残高が38兆6411億円に増えた。外国証券は1351億円の買い越し。2四半期ぶりの買い越しで、残高は55兆724億円となった。

  7-9月期は英国の欧州連合(EU)離脱選択に伴う投資家のリスク回避の動きが後退する中、円高進行が一服し、国内外で株価が底入れした。日本株と外国証券の6月末の残高は2014年末以来の水準まで目減りしたが、9月末にかけて盛り返した格好だ。ドナルド・トランプ次期米大統領の景気刺激策を先取りした国内外の株高や円安・ドル高を受け、GPIFが保有するリスク資産の残高と構成比はさらに高まっている可能性が高い。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、GPIFは10月以降に約5.7兆円の収益を上げたと推計。3共済はともかく、GPIFは資産構成の目標値に近づきつつあるため、「依然としてリスク資産のサポートにはなるが、日本株への影響力という点では株価指数連動型上場投資信託(ETF)を買い進める日銀に主役が交代しつつある」とみている。

  国債・財融債は3664億円売り越しと13四半期連続の売り越し。9月末の保有残高は51兆262億円に減少した。保有残高は安倍晋三政権が公的年金改革に関する有識者の報告書をまとめた13年10-12月期から9四半期連続で減ったが、今年1-3月期は日本銀行によるマイナス金利政策の導入を受けた債券高で増えていた。

  9月末現在の運用資産額が132.1兆円のGPIFは14年10月に国内債の目標値を下げた一方、内外株式や外債を上げ、期待収益率は高いが価格変動も大きいリスク資産を増やした。公務員や大学関係者らが加入する3共済もGPIFに追随している。昨年10月からは、積立金のうち約27.3兆円の運用目標やリスク管理をGPIFと一元化地共済と私学共済は独自の判断で運用する資金の大半に当たる約21.6兆円にも、同じ資産構成の目標値を採用した。3共済による資産構成の変更が済めば、合計約48.9兆円がGPIFと似通った運用成績になる見通しだ。

  9月末までの3カ月間の株価指数の騰落率は、TOPIXが6.18%、MSCIコクサイ指数が円換算で2.29%とそれぞれ上昇。新発10年物国債利回りは14.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高いマイナス0.085%、同年限の米国債は12bp高い1.59%程度だった。円相場は1ドル=101円35銭と1円85銭上昇し、四半期末としては14年6月末以来の円高・ドル安水準となった。

  日銀が発表した今回の統計によると、国債・財融債と国庫短期証券を合わせた「国債等」の残高は9月末に1091兆円だった。公的年金は全体の4.7%を保有。構成比は3カ月前からほぼ横ばいだった。

  日銀は4-6月期までの確報値も発表。公的年金の国債・財融債の売り越し規模は速報時点の1兆1252億円から8881億円に、日本株の買い越しは5577億円から6124億円に、対外証券投資の売り越しは1168億円から864億円に遡及修正した。

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