来週の債券市場で長期金利は上昇余地を探る展開と予想されている。米長期金利の先高警戒感やドル高・円安基調を背景に、引き続き売り圧力が掛かりやすい。一方、急速な金利上昇局面では日本銀行が抑制に動くとみられ、市場とのせめぎ合いになるとの見方も出ている。

  今週の長期金利は週初にいったん0.08%に上昇したが、日銀が14日の買い入れオペで10年超を増額し、次回のオペ実施日を予告する異例の措置を取ったことを受けて、いったん0.05%まで買い戻された。その後、米長期金利が2.6%台と2年3カ月ぶりの高水準を付けると、16日には一時0.10%と1月29日以来の高水準を付けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「世界経済の回復期待から主要国では長期債利回りの上昇が続いている。円安・株高基調が強まっており、投資家の積極的な買いは見込みづらい」とし、来週の債券相場は上値の重い展開を見込む。その上で、「超長期債中心に利回りの上昇圧力が続くため、日銀は市場動向を慎重に見極めながら、過度な利回り上昇を抑える姿勢を示すだろう」と言い、「新発利付国債の入札もないため、良好な需給環境が下値を支える」とみる。

  超長期ゾーンは20年入札への警戒感から売り優勢の展開。新発20年債利回りは一時0.65%と2月以来、新発30年債利回りは0.805%と3月以来の高水準を付けた。しかし、14日の日銀オペをきっかけに買い戻され、16日には新発20年債が0.565%、新発30年債が0.665%まで下げた。

黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  日銀は19、20日の日程で金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがエコノミスト39人を対象に実施した調査では、全員が政策の現状維持を予想。黒田東彦総裁の任期の2018年4月まで追加緩和はないとの見方が25人と多数を占めた。任期中はマイナス0.1%の短期政策金利の引き上げはないとの予想は9割となった一方で、長期金利目標については26%が引き上げを予想した。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、日銀会合について、「10年債利回りの目標水準の引き上げを行う可能性も視野に入れたい」と言い、「場合によっては0%~0.10%をめどにするレンジ目標の導入も排除できない」と予想。また、国債買い入れ額については、「60兆円~100兆円のレンジでの運営に切り替えることも想定される」と付け加えた。

  21日には流動性供給入札が予定されている。発行予定額は5000億円程度で、残存期間5年超15.5年以下の銘柄が対象になる。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「年内はほぼ入札が終わっているので、リバウンドする局面。いったんは金利上昇を見据えたショートポジションはクローズし始めた感がある」と分析。来週の日銀会合については、「14日に超長期のオペを増額したことで、80兆円の買い入れ目標が残る可能性がある。長期金利の目標水準も据え置かれた場合、指し値オペのタイミングを探る展開になる」とし、「そうすると金利が低下してもおかしくない」とみる。

市場関係者の見方

*T
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日銀は当面現状の金融緩和政策を維持するだろう
*投資家の活発な動きは見込みづらいが、新発国債入札はなく、良好な需給環境が下値を支える
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッド
*フラットニングの持続性はあまりなく、スティープニングが速過ぎた反動の踊り場
*20年債利回り0.65%程度で止まる感じは全然しない
*長期金利の予想レンジは0.04%~0.10%

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*ECBが実質的なテーパリング、FOMCが来年の利上げペース加速を示唆する中、来週は日銀金融政策決定会合に注目
*海外金利が上昇する中、長期的に40年債利回りは1%が視野、超長期ゾーンには利回り上昇圧力が続きそう
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.15%

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*長期金利についてはマーケットが日銀の意思を確かめにきている
*日銀政策据え置きなら、指し値オペのタイミングを探る展開へ
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
*トランプ相場がいつまで続くかによるが、円安・インフレ圧力を背景に金利は上向き
*日銀は長期金利が0.1%を上回るとさすがに指し値オペを打つだろう。0.1%を抜けてどんどん上昇するとはみていない
*長期金利の予想レンジは0.04%~0.10%
*T

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