安倍晋三首相は16日午後、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談で北方領土での共同経済活動を特別な制度の下で行うための交渉を開始することで合意したことを明らかにした。2日間にわたる会談終了後の共同記者会見で語った。首脳会談の成果として、エネルギー分野などの経済協力を含め、政府・当局間で12件、民間68件の文書がまとめられたと日本外務省は発表した。

山口県長門市での日ロ首脳(15日)
山口県長門市での日ロ首脳(15日)
Photographer: Dmitry Azarov/Kommersant via Getty Images

  安倍首相は、戦後71年を経過しても日ロ間に平和条約がない状態について「私たちの世代、私たちの手で終止符を打たなければならない」と述べ、「その決意を私とウラジーミルは確認」したと語った。共同経済活動について「平和条約締結に向けた重要な一歩」であるとの認識を示した。プーチン大統領は平和条約締結がロシアと日本にとって最も重要な問題であり、両国は領土をめぐる応酬をやめるべきだ、と指摘した。

  日本政府が発表したプレス向け声明によると、共同経済活動は北方4島に関する両国の「立場を害するものではない」ことに立脚。両国は国際約束の締結を含め、実施する際の法的基盤について検討する。両首脳は漁業、海面養殖、観光、医療、環境といった分野で共同経済活動の条件、形態などについて協議を開始するよう関係省庁に指示する。

  また、高齢化した元島民が往来しやすくなるよう、手続きを簡素化するなどの案を迅速に検討するよう、両首脳がそれぞれ外務省に指示したこともプレス声明で発表した。

  国後、択捉、歯舞、色丹の北方4島は第2次世界大戦末期に旧ソ連軍が侵攻し、占領。当時の住民1万7000人が強制退去を余儀なくされた。日本政府は4島は固有の領土であり、帰属の問題を解決した上で平和条約を締結する姿勢を示してきた。1956年の日ソ共同宣言では、歯舞、色丹については平和条約締結後、旧ソ連が日本に引き渡すことで合意した経緯があるが、進展はない。  

経済協力

  日ロ間の成果文書としてまとめられた経済協力は原子力の平和利用や石炭などエネルギーのほか、農業、ヘルスケア(医薬・医療)など幅広い分野にまたがっている。15年のロシアへの国外からの投資額は70%以上減少したにもかかわらず、日本からの投資額は51%増加。日本政府は今年5月、8項目の経済協力プランをロシア側に提示していた。

  安倍首相は記者会見で、両国の経済協力は「双方に大きな利益をもたらす」と述べ、経済面の結び付きが「相互の信頼醸成に寄与すると確信している」とも語った。ロシアが毎年行っている東方経済フォーラムに来年も出席する考えを表明した。

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