世界各国・地域の主要な中央銀行当局者にとって、今年は自らの限界を意識した年であったろう。

  中銀当局者は低調な世界経済の成長下支えの役割をたたえられるどころか、干渉し過ぎだとして非難を浴びた。マイナス金利政策は銀行収益を圧迫したと批判され、多額の債券購入プログラムは投資よりも市場の投機を煽(あお)ったと名指しされた。

ドラギECB総裁
ドラギECB総裁
Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

  そして今、ポピュリズム(大衆迎合主義)が高まり、景気対策として政府支出が再び脚光を浴びるつつある中、2017年はセントラルバンカーが舞台中央からひっそりと身を引く年となりそうだ。

  日本銀行は既に、自らの手段でできることには限界がある点を認識しつつある。欧州中央銀行(ECB)は債券購入プログラムが恒久的なものでないことを示唆した。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、経済のサプライサイド(供給面)に対する超低金利の効果がいかに小さいかを思い知らされた。

  HSBCホールディングスのアジア経済調査担当共同責任者フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は、「各国・地域の中銀は今年、手詰まり状態に陥った」と指摘。「金融面の緩和策は今年がピークで、徐々に縮小されていく可能性がある」との見方を示した。

独立性への脅威も

  中銀の政策に批判的な人々は、過去何年にもわたる異例の金融刺激の後も世界経済の低迷が続いているとして、攻撃のトーンを強めている。米国では、トランプ次期大統領が当局の金融政策を新たに監査対象とすることに賛意を示唆。韓国では、過去最低水準の借入金利に絡んだリスクに、議員がこれまでになくはっきりとした口調で警告を発し、日銀の黒田東彦総裁は説明のため何度も国会に呼ばれ、一部の議員は日銀の政策は混乱をもたらしていると不満を漏らす。

ウィリアム・ヘイグ氏
ウィリアム・ヘイグ氏
Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  英保守党党首や外相を歴任したウィリアム・ヘイグ氏は10月、中銀が超緩和策からの方向転換を怠れば、自らの独立性を損ないかねないと発言。先進国の大半でこうした政策が何年も続けられた後、ポピュリストの政治の時代において金融当局の独立した政策運営への脅威は増大する可能性がある。

  ボストンに本拠を置くスタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「中銀には総需要を増やすことはできても、総供給を増やすことはできないというのが、われわれが学んだことだ」と説明。「高齢化が進み、生産性が伸び悩む環境では、彼らは分相応にやりくりするしかない」と論じた。

原題:Central Banks Hand Off Growth Baton After a Year Learning Limits(抜粋)

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