韓国のロッテグループ創業者の長男で、ロッテホールディングス(HD)前副会長の辛東主(重光宏之)氏が苦渋の思いを抱くのは当然だ。ここ数年の間に同氏は父親から役職を解任された上に、弟には会社から追放され、韓国検察当局から横領の罪で起訴された。

  にもかかわらず辛氏は自身の今後について、法廷で潔白を証明し、弟を会長の座から引きずり下ろして、米グーグルや欧州のエアバス・グループ以上の稼ぎを生み出す企業帝国の経営権を握れると確信していると語る。同氏の秘策は系列企業間の複雑な株式の持ち合いを利用することだ。韓国のグループ企業を統括するホテルロッテの株式99%を保有する日本のロッテホールディングス(HD)で少数株主の支持を得られれば、事実上グループの支配が可能になる。

辛東主氏
辛東主氏
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg

  辛氏(62)はソウルにある自身のオフィスで外国メディアの取材に初めて応じ、「私の最終的な目標はロッテの経営権を得ることだ」と指摘。「弟と現経営陣は(ロッテの)優れた企業文化を破壊した」と述べた。

  同氏は「チェボル(財閥)」と呼ばれる家族支配の大手企業グループの一角であるロッテの経営権獲得という、韓国企業史上まれに見るクーデターの成功を目指している。うまくいけば、国内最大のショッピングモールチェーンや免税店、ホテル、遊園地に加え、ベルギーの高級チョコレート「ギリアン」やニューヨークのパレスホテルといった海外資産も手に入る。

  ただ、実現の可能性はかなり低い。同氏の実弟でロッテグループ会長の辛東彬(重光昭夫)氏は人的・物的資源の点で勝っており、既に多くのクーデターの試みを退けてきた。

  財閥関連ウェブサイトを運営する財閥ドットコムのチョン・ソンソプ代表理事は、「財閥でクーデターが成功したことはこれまで一度もなかった」と指摘する。同理事によれば、辛東主氏にチャンスがあるとすれば、実弟が汚職事件で有罪判決を受けた場合だ。辛東主氏も起訴されているが、二人とも罪状を否認している。

原題:Inside a Banished Billionaire’s Plot to Overthrow His Brother(抜粋)

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