金融庁が国内の主要な銀行や地方銀行に対し、米国金利急上昇(価格は急落)の影響について緊急調査を始めたことが分かった。日本国債と並び日本の銀行が資金運用先として多額を保有する米国債の価値が急激に大きく目減りすれば、経営に悪影響を与えかねないとして実態把握に乗り出す。

  複数の関係者によると、金融庁は12月に入りアンケート調査やヒアリングを開始。米金利見通しのほか、評価損を抱える米国債を手放すか保有し続けるかなど今後の運用方針についても調べている。また金融庁は森信親長官も出席して今週開いた地銀との定期会合で米金利上昇への懸念を表明。ポートフォリオの適切な管理を促したという。

  邦銀など国内金融機関は、日銀の超低金利政策の下で米国債の保有を増やしていたが、米国では積極財政論者のトランプ次期大統領の選出や、連銀による利上げを受け金利が急上昇、保有資産の目減りに直面している。大統領選前日(11月7日)に1.83%だった米10年債利回りは一時2.58%まで上昇した。  

  日銀統計によると、邦銀全体の10月時点の外債保有残高は53.2兆円と黒田東彦総裁が異次元緩和に踏み切る直前の2013年3月から21%増加。三菱UFJフィナンシャル・グループでは米国債を主とする9月末の外国債券残高が24兆7096億円と国債残高(24兆4148億円)を上回り、残高の逆転現象が起きている。

  邦銀では米国債を中心とした外債保有の増加に伴い、財務への影響も拡大している。今の円安・ドル高基調が反転すれば、損失がさらに拡大する可能性もある。

  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、10年国債など長期金利までもが一時マイナスとなった日本の金利環境を受け「リスク許容度に見合わない人たちも外債に走っていた」とし、金融庁はそこに懸念を抱いたのではいかとみている。「円安と株高のフォローがある間に金融政策の正常化を進めたほうがいい」と指摘する。

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