日本銀行が集計した企業短期経済観測調査(短観)の「企業の物価見通し」は、1年後の平均値が0.7%上昇と9月の前回調査(0.6%上昇)から伸び率が高まった。2014年3月の統計開始後、前回調査を上回ったのは初めて。

  調査対象の1万社以上のうち、1年後は0%程度と回答した企業が43%と最も多かった。3年後の平均値は1.0%上昇と変わらず。5年後の平均値は1.1%上昇と前回(1.0%上昇)を上回った。企業に自社の販売価格の見通しを聞いた質問では、1年後が0.3%上昇、3年後が0.9%上昇、5年後が1.1%上昇。前回はそれぞれ0.2%上昇、0.8%上昇、1.1%上昇だった。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、企業の物価見通しが前回調査を上回ったことについて「原油価格上昇と円安ドル高の同時進行が主因だろう」と指摘する。
 
  日銀は9月の金融政策決定会合で、操作目標をマネーの量から長短の金利に変更。短期金利のマイナス0.1%を維持する一方で、10年物国債利回りは0%程度とすることを決定した。同時に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」を導入した。

  上野氏は「金融政策の枠組みを『長期戦・持久戦対応』に切り替える際に導入した『オーバーシュート型コミットメント』は世の中で認知度が低いままであるように見受けられ、企業の物価見通しに大きな影響を及ぼしたとは考えにくい」としている。

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