カジノを含めた統合型リゾートの整備を政府に促す法律(IR推進法)は、15日未明の衆院本会議で参院が議決した修正を自民党などの賛成多数で可決、成立した。政府は施行から1年以内をめどにカジノ解禁に伴う法規制などを定めた実施法案を策定する。北海道、横浜市、大阪府、長崎県が誘致に名乗りを上げているが、実際の開業は2020年東京五輪・パラリンピック後になる見通し。

ラスベガス
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Photographer: Jacob Kepler/Bloomberg

  法案は超党派の有志議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連、通称・ カジノ議連)がまとめた。許可を受けた民間事業者がカジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を「講じなければならない」と規定している。

  菅義偉官房長官は15日午前の記者会見で、IR推進法成立について「国会の議論を十分に受け止めて、依存症対策の強化などを含む必要な措置について、これからしっかり取り組んでいきたい」と語った。

  安倍晋三政権は6月にまとめた成長戦略でIRについて「観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待される」と明記していた。

  IR推進法成立を受け、日本への進出を検討してきた海外のカジノ運営会社は15日、相次いでコメントを発表した。MGMリゾーツ・インターナショナルは「日本のビジネスパートナーと連合を組み、共にワールドクラスの日本らしい統合型リゾートを作るというビジョンを明らかにすることができるようになる」と指摘。ウィン・リゾーツ・インターナショナルは「日本における統合型リゾート施設を実現させるために、非常に重要なステップになる」と法成立を歓迎した。

参院で修正

  法案をめぐっては、自民党と連立を組む公明党が衆院採決段階で自主投票とする方針を決定。衆院内閣委員会、同本会議で自民党などの賛成多数で可決した。参院内閣委では自民党が13日夜、政府がギャンブル依存症対策に必要な措置を行うことの明示と施行後5年以内をめどに必要な見直しを行う規定を盛り込んだ修正案を提出し、賛成多数で可決した。

  14日の参院本会議でも可決したが、国会法の規定により衆院に回付し、本会議で同意議決する必要があった。公明党の山口那津男代表は参院本会議で反対票を投じた。延長国会の会期は14日までだったが、カジノ法案の採決がずれ込んだため、17日まで3日間再延長した。

実施法が重要とコナミ

  政府は法成立後、安倍首相を本部長とする「特定複合観光施設区域整備推進本部」を設置。実施法案の国会提出に向け、ギャンブル依存症やマネーロンダリング(資金洗浄)対策、反社会的勢力の排除、日本人の入場規制などについて検討を進める。

  コナミホールディングスの坂本哲専務はブルームバーグの電子メールによる取材に対し、カジノの合法化について「実施法を注視することが重要」と回答。日本にカジノができる場合は、「世界で最高のゲーミングルールをつくり、それを守る組織、人員を配置し、IRに訪れるお客さまが、安心、安全、快適に楽しめる施設にすることが重要」と指摘した。

  同社は2014年5月、推進法が成立すれば国内カジノ施設への投資を目的とする子会社を設立する方針を発表している。

誘致合戦

  今後は自治体間の誘致合戦も本格化しそうだ。8日に議連が国会内で開いた総会では北海道、横浜市、大阪府と大阪市、長崎県、同県佐世保市の幹部が出席したが、衆院内閣委が12月2日に可決した付帯決議は、IRの整備が可能となる「特定複合観光施設区域」の指定は「厳格に少数に限る」とし、認定数の上限を法律で定めるよう求めている。

  議連の西村康稔事務局長(自民)は13日、参院内閣委の答弁で、「最初の段階ではせいぜい2カ所、3カ所」との見方を示した上で、その後も「成果、課題を検証しながら段階的に増やしていくのが適切だ」と指摘。総数も「10も20も想定はしていない」と述べている。実施法成立後の区域指定、事業者認可、建設などの日程を考えればカジノ開業までには数年かかるとも指摘。20年東京五輪に「間に合わせるのは難しい」と語っている。

  一方、東京都は石原慎太郎元知事の時代に積極的だったが、8月に就任した小池百合子知事は明確な考えを示していない。2日の記者会見で小池氏はIRについて観光振興という点ではプラスと指摘しながらも、社会的な懸念も議論されていることから、「総合的に見ていく」と語った。 

世論は反対が多数

  国民の理解は今一つだ。NHKが12日に報じた世論調査で、カジノ法案の賛否について「賛成」が12%、「反対」は44%、「どちらともいえない」が34%。産経新聞が2日付のコラム「主張」で、「多くの疑問を残したまま、駆け込みで事を進めている印象がぬぐえない」と指摘した。 

  議連会長の細田博之自民党総務会長は13日の参院内閣委員会で、IRの整備について「経済発展のために必要な時が来た」と指摘。国民の間で反対意見が多いことに関連し、「世論形成は当然必要であると思っているし、われわれも努力したい」と語った。


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