米シリコンバレーが本社で人工知能(AI)や超高速データ処理で取引システム開発を手掛けるアルパカDB社が、ビジネス拡大に向け資金調達を計画していることが分かった。同社は先月、英バークレイズから四元盛文(46)氏を日本代表に起用した。

  アルパカは近く三菱UFJフィナンシャル・グループなど約10社からの出資を受け入れる。調達総額は150万ドル(1億7000万円)超で、12月中旬にも合意に達する見通しという。四元代表がブルームバーグ・ニュースとのインタビューで明らかにした。

  三菱UFJをはじめ国内金融機関は、AIを駆使しリアルタイムに変化する膨大かつ複雑なデータをトレーディング判断に取り入れるなどフィンテック分野の強化に取り組んでいる。野村ホールディングスの永井浩二最高経営責任者(CEO)も今月、フィンテックなどのスタートアップに100億円を投じる方針を示している。

  今回、アルパカに出資する予定の三菱UFJキャピタル投資第4部の堂前泰志副部長は、「開発技術力が高く、スピード感があり、有望で将来性があると高く評価している」と述べた。

リーマン・ブラザーズ出身

  アルパカは2015年に設立。金融工学や画像認識技術、ディープラーニング(深層学習)技術を複合的に用いた投資アルゴリズムの開発を得意とする。四元代表によれば、資金調達は昨年に続いて2度目。資金はシステム開発関連や人材獲得に充てるという。

  横川毅最高経営責任者(CEO)はリーマン・ブラザーズで証券化商品を担当、四元代表もリーマン出身で、当時横川氏を採用した担当責任者だった。四元氏はアルパカに入社する前、バークレイズの日本で債券資本市場部長を務めていた。

  アルパカは日本で銀行や証券会社に外貨取引(FX)のアルゴリズムのトレーディングソフトウェアを供給していく計画。顧客は投資額のほか、許容できる損失額と利益目標などのパラメータ(媒介変数)を入力することで独自の執行パターンを構築できる。

  同社は米国株の取引でもサービスを提供。市場変動の癖を数値化して収益機会を得ることのできるシステムなどを開発している。例えば、アップルの株価が上昇した際、90%の相関で動く銘柄を瞬時にピックアップし取引に活用する。年内に日本の金融機関3-4社に対し、こうした技術を提供する契約を締結する見通しだ 。

NEC、SMFG

  フィンテック関連のコンサルティングなどを手掛けるアクセンチュアの4月のリポートによると、グローバル企業による金融技術分野への投資は、アジアと欧州でのベンチャー投資急拡大のため15年は223億ドルと前年に比べ75%増加した。

  MUFGのほか、NECグループ三井住友フィナンシャルグループ共同運営するベンチャーファンドも出資を決めている。

  NECキャピタルソリューションの國枝和雄イノベーティブ・ベンチャーファンド部長は、「当ファンドは既存の価値基準を打ち砕くような革新を期待できるスタートアップを支援することを主眼としており、アルパカ社はそれに合致すると判断した」と述べ、同社は1000億円の企業価値を持ち得る会社に飛躍する可能性があると指摘した。

  四元代表は「従来はインベストメントバンクが中心になりマーケットを支えてきたが、これからのインターネット社会では新たな投資手段やモデルを持つフィンテックがそこに加わっていくだろう」と述べた。その上で「最終的にはグローバルの個人投資家に供給したい」と語った。

準グランプリ

  アルパカは8月、起業家やベンチャー企業が革新的なビジネスの立ち上げを目指すフィンテック「アクセラレータ・プログラム」(MUFG主催)に参加し、準グランプリを獲得。また三菱東京UFJ銀行とKDDIが共同出資するじぶん銀行向けにAIを活用した外貨預金サポートツールを開発することで合意した。

  四元代表は早稲田大学を卒業後、1993年に日商岩井に入社、為替、金利、デリバティブ、ヘッジファンド投資などの取引に従事した。99年にリーマンに移籍、証券化ビジネスを立ち上げた。05年にバークレイズに入社、マネジングディレクターを務めていた。

英文記事: Fintech Startup Alpaca Raises Funds After Hiring Barclays Banker

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