カジノを含めた統合型リゾートの整備を政府に促す法案 (IR推進法案)は今国会で成立する見通しとなった。政府は施行から1年以内をめどにカジノ解禁に伴う法規制などを定めた実施法案を策定する。北海道、横浜市、大阪府、長崎県が誘致に名乗りを上げているが、実際の開業は2020年東京五輪・パラリンピック後になる見通し。

ラスベガス
ラスベガス
Photographer: Jacob Kepler/Bloomberg

  法案は超党派の有志議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連、通称・ カジノ議連)がまとめた。許可を受けた民間事業者がカジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を「講じなければならない」と規定している。

  安倍晋三政権は6月にまとめた成長戦略でIRについて「観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待される」と明記していた。

  大阪商業大学の美原融教授は12日、参院内閣委員会での参考人質疑で、カジノを含むIRは「地域社会に大きな経済効果をもたらし、雇用効果をもたらし、これを民間主体の力で実行する」考え方だと説明した。反対派で弁護士の新里宏二氏はカジノは「不幸をまき散らす。人の不幸を前提とした成長戦略に疑問を感じざるを得ない」と述べた。

参院で修正

  法案をめぐっては、自民党と連立を組む公明党が衆院採決段階で自主投票とする方針を決定。法案は衆院内閣委員会では民進党が採決に加わらない中、賛成多数で可決。本会議を経て参院に送付された。参院は午後6時に再開した本会議でカジノ法案の採決を行う。

  参院では自民党が13日夜になって政府がギャンブル依存症対策に必要な措置を行うことの明示と施行後5年以内をめどに必要な見直しを行う規定を盛り込んだ修正案を内閣委に提出。民進、共産両党と自由、社民両党の参院統一会派「希望の会」が反対討論を行った上で採決が行われ、自民などの賛成多数で可決された。

  法案は修正が行われたため、国会法の規定により、参院本会議で可決された後に衆院に回付され、衆院で再び可決された時点で成立する。14日は今国会の会期末。共同通信によると、自民党は内閣不信任決議案提出などによりカジノ法案の採決時間がずれ込んでも成立させられるよう、2日間程度の会期延長を視野に入れている。  

実施法が重要とコナミ

  政府は法成立後、安倍首相を本部長とする「特定複合観光施設区域整備推進本部」を設置。実施法案の国会提出に向け、ギャンブル依存症やマネーロンダリング(資金洗浄)対策、反社会的勢力の排除、日本人の入場規制などについて検討を進める。

  コナミホールディングスの坂本哲専務はブルームバーグの電子メールによる取材に対し、カジノの合法化について「実施法を注視することが重要」と回答。日本にカジノができる場合は、「世界で最高のゲーミングルールをつくり、それを守る組織、人員を配置し、IRに訪れるお客様が、安心、安全、快適に楽しめる施設にすることが重要」と指摘した。

  同社は2014年5月、推進法が成立すれば国内カジノ施設への投資を目的とする子会社を設立する方針を発表している。

誘致合戦

  今後は自治体間の誘致合戦も本格化しそうだ。8日に議連が国会内で開いた総会では北海道、横浜市、大阪府と大阪市、長崎県、同県佐世保市の幹部が出席したが、衆院内閣委が12月2日に可決した付帯決議は、IRの整備が可能となる「特定複合観光施設区域」の指定は「厳格に少数に限る」とし、認定数の上限を法律で定めるよう求めている。

  議連の西村康稔事務局長(自民)は13日、参院内閣委の答弁で、「最初の段階ではせいぜい2カ所、3カ所」との見方を示した上で、その後も「成果、課題を検証しながら段階的に増やしていくのが適切だ」と指摘。総数も「10も20も想定はしていない」と述べている。実施法成立後の区域指定、事業者認可、建設などの日程を考えればカジノ開業までには数年かかるとも指摘。20年東京五輪に「間に合わせるのは難しい」と語っている。

  一方、東京都は石原慎太郎元知事の時代に積極的だったが、8月に就任した小池百合子知事は明確な考えを示していない。2日の記者会見で小池氏はIRについて観光振興という点ではプラスと指摘しながらも、社会的な懸念も議論されていることから、「総合的に見ていく」と語った。

  海外のカジノ運営業者も法整備の動きに呼応した動きを見せている。「IR*ゲーミング学会」が11月に開いた会合には、ラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ・インターナショナル、ウィン・リゾーツ・インターナショナルなどが参加し、プレゼンテーションを行った。

世論は反対が多数

  国民の理解は今一つだ。NHKが12日に報じた世論調査で、カジノ法案の賛否について「賛成」が12%、「反対」は44%、「どちらともいえない」が34%。産経新聞が2日付けのコラム「主張」で、「多くの疑問を残したまま、駆け込みで事を進めている印象がぬぐえない」と指摘した。 

  議連会長の細田博之自民党総務会長は13日の参院内閣委員会で、IRの整備について「経済発展のために必要な時が来た」と指摘。国民の間で反対意見が多いことに関連し、「世論形成は当然必要であると思っているし、われわれも努力したい」と語った。


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