国内ビールシェア首位のアサヒグループホールディングスは、ベルギーのアンハイザー・ブッシュ(AB)・インベブとの間で東欧5カ国のビール事業買収で合意したと13日に発表した。欧州全体に強固な成長ネットワークを築くことができるとしている。株価は続落している。

  13日の取引終了後に発表された資料によると、買収額は73億ユーロ(約8883億円)で、投資銀行等に支払うアドバイザリー費用は約29億円になる。取得の対象はABインベブに買収された旧SABミラー傘下のチェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアのビール事業だとしている。来年上期の取得を目指している。

  アサヒGHの小路明善社長は先月の都内の記者会見で、「グループの成長エンジンは海外」との考えを示し、現在十数%程度の海外売上高比率を早期に2、3割へ引き上げたいと述べていた。同社は10月にイタリアの「ペローニ」などを含む4ビールブランドを、ABインベブから3000億円超で買収したばかり。

「割高」

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の角山智信アナリストは13日付リポートで「買収金額はやや割高な印象」だと指摘。根拠として、10月のイタリアブランドなどの取得と比較し、足元の収益力に対する買収額の倍率が両案件で同水準なのに対し、過去数年の売上高の成長率は今回の方が低い点を挙げている。

  関係者によると、11月時点の東欧ビール事業の推定評価額は最大で60億ドル(約6900億円)とされていたが、買収額はそれを上回った。

  野村証券の藤原悟史アナリストは13日付リポートで、東欧ビール事業の同倍率を世界のビール・飲料平均と比較し、「割安感はなく、成長性も高くないが、非常に高収益で安定的な収益基盤を獲得できたと評価される」と記した。買収により無形資産が7900億円程度発生すると考えられるとする一方で、「圧倒的な収益基盤」を持つとして「減損リスクは低い」と指摘した。

株価

  14日の取引で株価は反発後、下落に転じた。一時、前日比4.1%安の3355円に下げた。取引時間中に一部報道で買収の大筋合意が伝えられた13日には一時、同6.4%安となり、6月24日以来の下落率となった。

  アサヒGHによると、今回取得する東欧ビール事業は、チェコのプレミアムビールブランド「ピルスナーウルケル」などを含む。16年3月期実績で合計約2000億円の売上高(酒税を除く)があり、10月に取得した西欧ビール事業と合わせて3000億円近い売り上げ規模となり、海外売上高比率は買収完了後に24%に達する見通しだという。

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