無料通信アプリを運営するLINE(ライン)は、破壊的イノベーションによって新規事業を生み出そうと、来年から企業文化の刷新に取り組む方針だ。

  出沢剛社長(43)と慎(シン)ジュンホ取締役(44、創業者、チーフ・グローバル・オフィサー)、舛田淳取締役(39、チーフ・ストラテジー&マーケティング・オフィサー)の3人によるトロイカ体制の下で、新規事業は舛田、慎両氏が担当する。また関係者2人によると、ラインは来年1月半ばの社員集会で企業文化刷新を目指した計画を発表する。新規事業を一つでも創出するのが狙いだ。

Left to right, Jun Masuda, Takeshi Idezawa, and Joongho Shin.
Left to right, Jun Masuda, Takeshi Idezawa, and Joongho Shin.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  ラインは今年、世界のIT企業としては最大規模の新規上場(IPO)を果たし、株価は公開価格を20%強上回る水準で推移している。しかし、中核のメッセージサービスのユーザー数は2億2000万人程度で頭打ちになり、ゲームやスタンプからの売り上げも伸びが鈍化している。米フェイスブックや中国のテンセントなどと競争していくには新たな収益源を創出し、ユーザー数を拡大する必要がある。

  「ラインは破壊的なイノベーションをさらに起こしていかなければならない」と舛田取締役はブルームバーグとのインタビューで語った。

  出沢社長の経営手法は独特だ。舛田、慎両取締役も企業戦略に関して大きな役割を担っており、3人は多数決ではなく合意によって物事を決めてきた。会議でプレゼンをするやり方ではなく、ラインチャットで時にはクマのスタンプも交えながら議論することが多いという。

チャットで経営会議

  出沢社長は大学卒業後に生命保険会社に入社、後にライブドアとなる新興IT企業に転職。ライブドアでは創業者社長が逮捕され、混乱期に経営を任される経験をしている。

  慎取締役は韓国で検索エンジンを開発したエンジニアで、ラインを創業した。現在は海外市場の担当。ラインは日本、タイ、台湾で支配的なシェアを握っており、インドネシアではトップシェアを取ることを狙っている。「自分はものづくりが一番向いているタイプ。表に立つよりも裏方で働くのが向いている」と話す。

  対照的に舛田氏は弁が立ち、スタートアップ関連のイベントにパネリストとして招かれることも多い。高校中退後に早稲田大学に入るも、また中退。舛田氏の履歴書にはクイズ番組の台本書きから工場労働者までさまざまな職業が並ぶ。中国のインターネット企業、百度の日本法人の役員を務めていたこともある。

  上智大学国際教養学部のパリッサ・ハギリアン教授は「異なる経歴の3人が関わるのはとてもいい考えかもしれない」と話す。ただ、「決定内容が革新的なものになりにくいのが難点」とも指摘した。

  3人は過去半年にわたり、それぞれの経験を踏まえて会社の価値観を明確化する作業を進めてきた。若い社員へのメッセージとして、特に、大胆であること、迅速であること、データを活用すること、そして楽しむことに重点を置いている。舛田氏は「信念や文化、ブランドをいつでも変えられるようにしておく必要がある。いい時は長くは続かないというのがわれわれ3人の考えだ」と話した。

原題:Line Aims to Shake Up Messaging Business to Spur Growth in 2017(抜粋)



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