ウォール街の資産家としては、デービッド・マルティネス氏は最も裕福というわけではないかもしれない。だがウォール街きってのミステリアスな人物の1人であるのは確かだ。

  メキシコで生まれ育った同氏の企業フィンテック・アドバイザリーはイタリアで今年、世界最古の銀行に出資した。マルティネス氏は非常に積極的だが、全く捉えどころのない曖昧模糊(もこ)とした存在で、「ゴーストインベスター」として知られている。ニューヨーク・マンハッタンのパークアベニューにオフィスを置く同氏のヘッジファンドには、ウェブサイトがない。

  TPCGキャピタルのブエノスアイレス在勤アナリスト、ホセ・マリア・カオ氏は、マルティネス氏は「ブラックボックス」だと語る。マルティネス氏は今年3月、アルゼンチン最大の通信会社、テレコム・アルゼンチンの支配持ち分を取得する認可を政府から得ている。同氏は「アルゼンチン市場で重要なプレーヤーだ」とカオ氏は話す。

  マルティネス氏は過去30年、ギリシャからパキスタンに至る各地で不良資産に数多く投資してきた。アルゼンチンへの投資も大きく、現地では「友好的なハゲタカ」と呼ばれている。

  マルティネス氏のアルゼンチン投資で、少しばかりカーテンの向こう側が見えてきた。アルゼンチンでは公益企業の投資家は所有権の詳細を開示する必要があり、テレコム・アルゼンチンに関する当局への届け出で、マルティネス氏がフィンテックのただ1人の株主であることが判明した。フィンテックはフィンテック・テレコムを通じテレコム・アルゼンチンをコントロールしている。こうしたことを踏まえ、ブルームバーグ・ビリオネア指数で評価すればマルティネス氏(59)の純資産は24億ドル(約2800億円)相当と、メキシコ有数の富豪ということになる。

  メキシコと英国の二重国籍を持つ同氏は、その大半をニューヨークで過ごし、メキシコへは家族に会うためだけに故郷のモンテレイを訪れているようだ。表に出ることを嫌うマルティネス氏は、コメントを控えている。

原題:Mysterious Bond Billionaire Offers Rare Look at Finances (1)(抜粋)

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