日本電産とSMCが13日、株式の売りを推奨するリポートの標的となった。両社はリポートに反論し、株価は徐々に持ち直した。

  日本電産のリポートを発表し、同社株を空売りしていることを明らかにしたのは、投資家カーソン・ブロック氏が率いる米調査会社マディー・ウォーターズ。同社が日本企業を標的とするのは初めて。

  13日の午前9時半に空売りについてのリポートが発表されると、株価は一時、6月24日以来の下落率となる前日比5.9%安の9301円まで下げた。ただ株価は、徐々に持ち直し、終値は前日比ほぼ変わらずの9880円となった。

  リポートでは、日電産は売上高と利益の目標を達成できておらず、見かけの収益性を高めるために、「非常に強引な会計手法」を採用しているなどと主張し、目標株価を4764円とした。これに対し、日電産は、業績や会計処理は透明性ある開示をしてきたとリポート内容を否定。リポートは日電産の見解と「まったく異なる」と反論した。

  マディー・ウォーターズは、標的企業の株式を空売りした上で、問題点を指摘するリポートを発表し、株価が下がったところで買い戻し、利益を上げる手法をとる。これまでは米国や中国、シンガポールの会社を標的とし、カナダに上場していた中国の造林会社サイノフォレストは、2011年のリポート発表後に破綻に追い込まれた。一方、リポートを発表したにもかかわらず、中期的に株価が上昇する場合もあった。

「買収で覆い隠そうとしている」

  「私たちの考えでは、日本電産は適切に経営されていない」とマディー・ウォーターズのブロック氏はブルームバーグの電話取材に述べた。また「本業が成長していないことを買収で覆い隠そうとしている」と主張した。

  京都に本社を構え、モーター事業を展開する日電産は、創業者の永守重信会長兼社長の下、買収を繰り返しながら成長してきた。同社ウェブサイトによると、1984年以降、国内外で49件の買収を実施。10年3月期に5875億円だった連結売上高は、16年3月期に1兆1783億円と倍増した。

  一方、都内に本社を構える空気圧制御システムの製造メーカーSMCに対しては、空売り調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチが「強い売り」とするリポートを取引開始前に公表した。13日の同社株は売り気配で始まり、売買成立後は一時前日比11%安の2万6355円まで下げ幅を広げたが、徐々に持ち直した。終値は同3.5%安の2万8460円。

  ウェルはリポートで、SMCの会計手法や財務諸表を問題視し、目標株価の下限を4484円とした。末尾の免責条項では、ウェルが「株式を空売りしている可能性がある」と述べた。

  SMCは、適正な会計処理を行っていると発表。また適正な会計監査を受けており、ウェルの見解は同社と「全く異なる」と反論した。

空売り投資家

  ことしに入り、日本企業では伊藤忠商事やロボットベンチャーのCYBERDYNE(サイバーダイン)が別の空売り投資家の標的となり、発表直後の両社の株価は急落した。両社とも、空売り投資家の主張を否定した。

  国内最大の独立系投資信託会社さわかみ投信の草刈貴弘最高投資責任者(CIO)は「リポートによって特にアクションを起こすことはない」と述べた。同投信は日電産とSMCの株式を保有している。

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