12日の東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=115円台後半に上昇し、10カ月ぶりの高値を更新した。週内に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国が先週末に15年ぶりに協調減産で合意したことを受けたリスク選好の円売りや米金利上昇が支えとなった。

  午後3時40分現在のドル・円は前週末比0.3%高の115円60銭。午前に付けた115円62銭から午後に115円16銭まで下げた後、再び値を切り上げ、一時115円72銭と2月9日以来の高値を付けた。円は主要通貨に対して全面安。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時1254.71と1日以来の高水準を付けた。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、ドル・円相場の上昇について、「OPEC非加盟国の減産合意の影響が大きい。リスクオンの円安に効いている」と説明。原油価格動向がFOMCに影響するかに関しては、「9月FOMCと比べて原油価格が上昇しているので、金利の見通しを押し上げる要素。FOMCでFF金利見通しがどう変わってくるかが焦点」と述べた。もっとも、「原油価格だけでなく財政政策の見通しも含めて金利見通しは出てくるので、12月の段階では目立った見通しの引き上げにはならないだろう。前回9月見通しに近い内容になりそう」と見込んでいる。

  OPECとロシアなど非加盟国は10日のウィーンでの閣僚会合で、非加盟国全体で日量55万8000バレルの減産で合意した。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とロシアのノバク・エネルギー相が中心となって、15年ぶりの減産合意が成立した。

  ニューヨーク原油先物相場はアジア時間12日の時間外取引で、一時1バレル=54.51ドルまで上昇し、昨年7月6日以来の高値を付けた。

  ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、「OPECからのネタで商品市況の上昇や金利高止まりはあるかもしれない」と指摘。一方で、「FOMCの市場コンセンサスは来年2回利上げと今のところなっているが、それをメルクマールにしながら出た結果を見ると思う」とも語った。

  米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した予想確率によると、13、14日に開催されるFOMCでは利上げ実施が確実視されている。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.5-0.75%とする見通し。FOMCは来年の経済・政策金利見通しを公表し、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見を行う。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部・戦略トレーディング課の池島俊太郎課長は、「アジア時間でドル・円は上値を付けたものの、2014年以降の相場で115円後半から116円前半はレンジ観の変わる価格帯となっており、短期的なポジション調整が出やすくなっている。また、米大統領選後のドル高の流れが続く中で、材料面ではドルが上がりやすいものの、FOMC後のクリスマス休暇を見据えてポジションを軽くする動きが出やすい時間帯でもある」と述べた。

  12日の東京株式相場は5日続伸。TOPIXは前週末比0.4%高の1531.43で取引を終えた。日経平均株価は158円66銭高の1万9155円03銭。終値で1万9000円台を回復したのは、昨年12月30日の大納会以来。

  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、「本日もシドニー入りからドル・円は底堅い形。今週はFOMCがあるため、金利も上がりやすく、ドル買いになりやすい」と解説。ただ、「このドル高、金利上昇の流れにどれくらい株高が続くのかが不透明で、ドルの高値を追いかけてよいものかどうかは難しいところ」と語った。

  前週末9日の米国市場で、長期金利は6ベーシスポイント(bp)上昇の2.47%で終了。12日の時間外取引では一時2.4967%と、2015年6月11日以来の高水準を付けた。一方、米ミシガン大学消費者マインド指数が市場予想を上回る良好な数字となり、S&P500種株価指数は6日続伸し、過去最高値を更新した。

  12日の米国では11月の財政収支が発表される予定。市場予想は1300億ドルの赤字。10月は442億ドルの赤字だった。

  ソシエテ・ジェネラル銀の鈴木氏は、日米の金利差は拡大しやすい地合いとしながらも、「米国債のネットショートが膨らんでいるので、結構過熱感がある。どちらかというと調整しても良い感触を個人的に持っている」と言う。

 産油国通貨が上昇。カナダ・ドルは、ほぼ全面高。対ドルで一時1ドル=1.3115加ドルと10月20日以来の高値を付けた。メキシコ・ペソやノルウェー・クローネも堅調に推移している。

  三菱東京UFJ銀の野本氏は、「OPECと非加盟国の協調減産合意を受けて、シドニー時間からカナダ・ドルが対ドルで買いが優勢になった。ドルの高値警戒ということで考えれば、対円なり対ユーロなりでドルを買って、そのヘッジとして対カナダ・ドルでドルを売るのも手かもしれない」と言う。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、横ばいの1ユーロ=1.0561ドル。朝方に一時1ユーロ=1.0520ドルと5日以来のユーロ安・ドル高水準を付けた。

  大和証の亀岡氏は、「ECBの金融政策は来年末まで緩和延長を決め、ユーロ売りとなったが、それも収まりつつある。一方で、イタリア暫定政権発足で総選挙回避の流れで、徐々にユーロ買い要素も出ている。一方的なユーロ安・ドル高にはならないのではないか」と説明した。

  イタリアのマッタレッラ大統領は11日、国民投票で憲法改正案が否決され辞任したレンツィ首相の後任としてパオロ・ジェンティローニ外相を指名し、組閣を要請した。

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