日本銀行は金融による景気刺激策としての量的緩和(QE)の一つの枠組みから離れる方針を示唆した。そして実践している。

   日銀は国債保有を年80兆円増やす目標を形の上では維持しているが、実際には70兆円の方に近くなりそうだ。ブルームバーグのデータによれば、今年これまでの合計は71兆7000億円、前年同期は75兆3000億円だった。

  日銀は9月以降、短期と長期の債券利回りの差、つまりイールドカーブをコントロールする政策枠組みを採用している。ただ、市場が有害な反応をすることへの懸念を一因に、従来の量的目標も維持している。量的目標を撤廃しても円が急騰しないと黒田東彦総裁ら当局者が確信すれば、撤廃される公算だ。

日銀本店
日銀本店
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  野村証券投資情報部チーフ・ マーケット・エコノミストの木下智夫氏は、イールドカーブをコントロールするのに80兆円買う必要はないと指摘。日銀がある時点で80兆円を声明などから落とすだろうと語った。

  一つの問題は政策委員会メンバーの中に国債購入継続の賛成派がいることで、採決で票が割れれば日銀の姿勢について市場に矛盾したシグナルを送りかねない。

  黒田総裁は9月21日に採用した新政策について、より持続可能だと繰り返し強調している。債券投資家はかねて、日銀が購入する債券の不足に直面することを警告してきた。
 
    三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、ひたすらマネーサプライ拡大を追求すれば利回りが下がり過ぎると指摘。必要なのは10年債に集中することなので、買い過ぎないように調整する必要があると解説した。

  幸いなことに、9月の政策修正後に市場は悪い反応を示さず、最近はトランプ次期米大統領の政策への期待などを背景にリフレ派が望んだ円下落と株式相場上昇が実現した。このままいけば日銀は安心して声明の文言を微調整することができるかもしれない。

  一つのシナリオとしては、日銀が来年度の前半に債券購入の目標を金額から、現水準前後という文言に変えることが考えられると稲留氏は話した。

原題:BOJ Tapering Sees Bond Buying Slow Toward 70 Trillion Yen(抜粋)

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