1990年代のバブル崩壊前に消費の限りを尽くした日本の消費者は長らく続く経済の停滞に打撃を受け、今や倹約家ぞろいだ。安倍晋三政権が推し進めるアベノミクスの行方は国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費に左右される。

商店街を歩く買い物客(都内)
商店街を歩く買い物客(都内)
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  内閣府が先週発表したGDPの年次推計で、2015年度の個人消費が、速報値の0.1%減から0.5%増へと大幅に上方修正された。速報値段階ではなかった供給サイドの最新データが反映されたためだ。個人消費は13年度、14年度ともに上方修正されている。14年4月の消費増税後の消費低迷からの回復は鈍いと言われてきたが、懸念したほど悪くはなかったようだ。

 

  8日発表の7-9月期のGDP2次速報から基準改定を適用した。最新の国際基準に対応して1994年にさかのぼって再推計し、これまでGDPに含まれなかった研究・開発(R&D)費を設備投資や公共投資として加算したことなどにより、15年度の名目GDPは計532.2兆円と、旧基準から31.6兆円押し上げられた。

  これに伴い、安倍政権発足後の成長率は軒並み上方修正された。

  今回の改定は、政府のGDP関連指標が経済実態を反映していないとする日本銀行の指摘を後押しする結果ともなった。日銀はこれまで、消費について自ら算出した「消費活動指数」の公表を始めるなど、独自の経済指標の作成に取り組んできた。

  第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは金融・財政政策に影響を及ぼすGDP関連指標について「もう少し予算を割いて精度を上げた方がよい」と指摘。

  「消費増税が景気に悪影響を与えたことは確かだが、その悪影響の度合いは、これまで認識されていたよりも小さいものにとどまっていた」とした上で、「もし、最初からこの数字だったらどうなっていたのか。政策自体が変わっていた可能性がある」と述べた。

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