来週の債券市場では超長期ゾーン中心に売り圧力が掛かり、利回り曲線はスティープ(傾斜)化しやすい展開になると予想されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利上げが見込まれているほか、20年利付国債入札に対する警戒感が背景にある。

  今週の長期金利は0.025%を下限に、週末には一時0.06%と2月以来の水準まで上昇した。6日の流動性供給入札に続き、8日の30年利付国債入札の結果が低調だったことから、超長期ゾーン中心に売り圧力が強まった。新発20年債利回りは0.565%と2月以来、新発30年債利回りは0.71%、新発40年債利回り0.82%と、ともに3月以来の高水準を付けた。

  FOMCは13日から2日間の日程で金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがまとめた市場の予想によると、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジが0.5-0.75%と、0.25-0.5%から引き上げられる見通し。終了後に声明と経済予測が発表され、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見する。

イエレンFRB議長
イエレンFRB議長
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  損害保険ジャパン日本興亜の西田拓郎運用企画部特命課長は、「来週の注目材料はFOMCだ。利上げは織り込まれているが、2017年の利上げに関するヒントが出てくるかも知れない」と指摘。「それが強めなら市場の利上げ織り込みが一段と進み、米10年債利回りは2.5%程度を試す可能性がある」と見込む。
  
  欧州中央銀行(ECB)は8日の金融政策決定会合で、量的緩和プログラムの下での債券購入を17年12月末まで延長する一方、毎月の購入額は来年4月から600億ユーロと、従来の800億ユーロから縮小することを決定した。これを受けてドイツの10年債利回りは1月以来の水準に上昇。米国債市場にも売りが波及し、米10年債利回りは再び2.4%台に乗せた。

  国内では、日本銀行が14日に企業短期経済観測調査(短観、12月調査)を発表する。市場予想では大企業・製造業の業況判断指数(DI)は10と、前回調査の6から改善が見込まれている。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、FOMCを控えて、「米長期国債利回りの大幅な低下は見込みづらい環境であり、円安・株高への警戒感が引き続き債券相場の上値を抑える」と予想する。日銀短観では「大企業製造業と非製造業ともに緩やかな景況感の改善が見込まれている」とし、世界経済の回復期待も相まって、「国内でも景気回復が意識されることで、しばらく国債利回りの低下余地は限られる」とみる。

  来週の国債入札は、13日に5年利付国債、15日に20年利付国債が予定されている。パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「20年入札を控えて超長期債は極めて重い展開が続きそうだ。30年入札でショートも埋まってしまっている。30年入札時のように直前に買われると買い手も引きやすい」と話した。

  岡三証の鈴木氏は、「国債の大量償還を控えて投資家の押し目買い需要が見込まれる」と指摘。「利回りの上昇が続けば、日銀が指し値オペに踏み切る可能性が高まろう」とし、「通常の買い入れオペに加え、指し値オペへの期待が大幅な利回りの上昇を抑える」と見込む。

市場関係者の見方

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◎損害保険ジャパン日本興亜の西田拓郎運用企画部特命課長:
*FOMC通過後はクリスマス休暇で相場薄く思わぬ金利上昇あり得る、円金利にも上昇圧力に
*日銀がどの水準で、どの年限で対処してくるかが大きな焦点
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト:
*世界経済の回復期待で主要国の株式は上昇基調を強めており、長期国債利回りは上昇圧力続く
*米長期国債利回りの大幅低下は見込みづらい、円安・株高警戒感が引き続き債券相場の上値を抑えよう
*長期金利の予想レンジは0.02%~0.08%

◎SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジスト:
*10年債は0.1%に接近すれば日銀の指し値オペが警戒され、上昇余地は乏しい
*20年債は10年債との見合いで妙味が増しており、0.6%程度が上限ではないか
*長期金利の予想レンジは0.00%~0.08%

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長:
*ECBがテーパリングを決め、日銀も買い入れ縮小を進めたいのではないかとの思惑が市場で高まりやすい
*10年債は指し値オペ注目で金利上昇が抑えられやすい分だけ超長期はスティープ化
*長期金利の予想レンジは0.03%~0.08%
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