欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、8日に発表した最新の景気刺激措置が最後になるとは限らないと強調した。ECBがインフレを目標水準に戻そうと取り組む中で、追加措置があり得ることを示唆した。

  ECBは同プログラムの期間を延長し、債券購入の総額を5400億ユーロ(約65兆6400億円)上積みする措置を決定した。従来は来年3月までとしていたが、4月から12月まで月600億ユーロのペースで続ける。さらに「見通しが悪化、もしくは金融環境がインフレ回復の進展と相いれないものになった場合、プログラムの期間延長や規模拡大を実施する方針だ」と表明した。

ドラギ総裁(フランクフルト、8日)
ドラギ総裁(フランクフルト、8日)
Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

  ドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、「ECBのプレゼンスは長く市場にとどまるだろう」と言明。ECBの量的緩和(QE)は「ある意味でオープンエンド、状況次第だ」と述べた。総裁は債券購入の総額を少なくとも2兆3000億ユーロにまで膨らませる理由として、基調的な物価圧力の弱さと政治的不透明、政府改革の不調を挙げた。ドラギ総裁ら当局者はかねて、域内の景気回復は金融緩和策の持続に大きく依存しており、各国政府は十分な役割を果たしていないと述べていた。

  この日公表された最新のECBスタッフ予測によれば、ユーロ圏のインフレ率は2019年に平均1.7%となる見込み。ドラギ総裁はこれについてECBが目指す2%弱の水準に「近いとは言えない」と語った。景気見通しには下振れリスクがあるとの認識もあらためて示した。

   ブルームバーグの調査に答えたエコノミストの大半は、ECBが債券購入を月800億ユーロのペースのままで6カ月前後延長すると見込んでいた。実際の決定については「極めて幅広いコンセンサス」があったと総裁が述べた。ECBはリファイナンスオペの最低応札金利をゼロ、中銀預金金利をマイナス0.4%で据え置いた。また、総裁によれば政策委員らは購入を最終的に終了させるテーパリングは議論しなかった。

  ECBは期間延長に加え、購入対象資産が枯渇することを避けるための調整も実施する。利回りが中銀預金金利を下回る債券も購入するほか、残存期間の下限も1年と、これまでの2年から引き下げる。

   ドラギ総裁は記者会見で域内各国政府に構造改革の実施を重ねて呼び掛け、ドイツ、フランス、オランダが17年に大型の選挙を控えているとはいえ、政治的な懸念が改革を怠る口実にはならないとくぎを刺した。「不透明性に対処する最善の道は、成長回復と雇用創出だ」と論じた。

    総裁はまた、デフレのリスクはほぼ消えたと述べたものの、景気が予想より強含む場合の議論はしなかったとして「ユーロ圏はそういう高レベルの問題から程遠いところにいるように思われる。基調的なインフレが力強い上昇トレンドにあるという兆しはまだ見られない」と指摘した。

原題:Draghi Says ECB Can Do More as QE Heads for $2.4 Trillion (1)(抜粋)
Draghi Says $2.4 Trillion Stimulus May Not Be Enough for ECB (2)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE