過去2年間はヘッジファンド、そしてアクティブ運用するファンドマネジャーにとってつらい時期だった。おとなしくインデックス投資していた方が、ほぼ全ての資産クラスで運用成績が良かった時期だ。

  ところが、ドナルド・トランプ氏が次期米大統領に選ばれたことで、こうしたファンドマネジャーは息を吹き返した。同氏の当選以降、近年の金融市場を特徴付けていた資産の相関関係が崩れた。

  1兆ドル(約114兆円)のインフラ投資を公約するなど、トランプ次期政権は積極的な財政政策を追求する方針。このため、投資家はインフレ率が上昇し中央銀行がこれまでの前例のない金融緩和を縮小あるいは転換すると確信し始めた。この変化は、さまざまな形で投資の価値に影響する。

  相関関係の崩壊はヘッジファンドにとってこれ以上望めないほどの朗報だ。アクティブ運用戦略では、価格が割安あるいは割高な資産を探し、いずれこれが修正されるとの見方で利益を挙げようとする場合が多い。これはしばしば、ある銘柄ないし相場の上昇を見込んだ買いと、別の銘柄の下落を見込んだ売りの組み合わせになる。

  このロング・ショート戦略は、全て一斉に値上がりしたり値下がりする状況ではうまくいかない。例えば、新興市場の相場下落と米S&P500種株価指数の上昇に賭けるファンドマネジャーがいたとして、どちらの相場も値上がりしてしまえば、米国株にインデックス投資だけしていた方がリターンが大きかったことになる。

  ヘッジファンド・リサーチ・グローバル指数のパフォーマンスが今年これまででプラス1.9%にすぎず、2015年4月に記録した高水準を5%下回ったままであるのは、市場の相関関係が異例に高かったためだ。

  もちろん、アクティブ運用のファンドマネジャーの能力は人それぞれで、過去2年にうまくいった人もいる。市場で相関関係が崩れて、さまざまな資産がもっと独立した動きをするというのは、腕が立つ運用者にはますます高いリターンを生み出すチャンスとも言える。

  しかも相関関係の崩れは資産間のみでなく、同じ資産の中でも起きている。米国株市場の中のさまざまなセクターから投資家が得るリターンを測る指数は09年以来のばらつきを示した。新興市場での取引所や商品の銘柄間でも同様の傾向だ。これは高い手数料を正当化するのに苦労してきたヘッジファンド業界には喜ばしいニュースだろう。

  トランプ氏は大統領候補として選挙を戦うに当たり、ヘッジファンドを殺人者呼ばわりして業界を攻撃した。宿敵だったはずが、救世主になってしまったのだから、皮肉というほかはない。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません。)

原題:Hedge Funds Find an Unlikely Savior. He Won’t Be Happy: Gadfly(抜粋)

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