債券相場は下落。長期金利は一時10カ月ぶり高水準を付け、30年物など超長期債利回りが軒並み大幅に上昇した。欧州中央銀行(ECB)の政策変更を受けて欧米債市場で金利が上昇したことや、国内株式相場の堅調推移が売り材料となった。

  9日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.055%で取引を開始。直後に0.06%と新発として2月17日以来の高水準を付けた。

  新発20年物の158回債りは一時4.5bp高い0.565%、新発30年物の53回債利回りは6bp高の0.71%、新発40年物の9回債利回りは5.5bp高い0.82%まで売られた。

  損害保険ジャパン日本興亜の西田拓郎運用企画部特命課長は、「ECBに関する市場予想は月800億ユーロのままで6カ月延長だったが、実際は600億ユーロに減額して9カ月延長した。資金供給量の総額は予想より増えているので、それほどテーパリング的ではなくハト派気味。テーパリングを急ぐ話ではない」と指摘。ただ、「市場の見方は分かれており、欧州金利のボラティリティは上がるだろう。米金利ももう少し上がりそう。米欧金利の上昇は日本国債にも利回り水準とボラティリティの上昇要因となる」と述べた。

  長期国債先物市場で中心限月12月物は、前日比12銭安の150円42銭で取引を開始し、一時150円37銭まで下落。その後は横ばい圏でのもみ合いとなり、結局は4銭安の150円50銭で引けた。

  みずほ証券の山内聡史マーケットアナリストは、ECB理事会後に欧米金利が上昇したことを受けて、円債相場も軟調な展開と指摘。「金利水準的には今までと比べてかなり上昇しているが、海外金利がさらに水準を切り上げている。今週の流動性供給入札や30年債入札が弱めの結果に終わったため、来週の20年債入札に対する警戒感も強まっている」と述べた。

欧米債下落

ECBドラギ総裁
ECBドラギ総裁
Bloomberg

  8日の米国債相場は下落。米10年物国債利回りは前日比7bp高い2.41%程度で引けた。ECBが量的緩和プログラムの下での債券購入を2017年12月末まで延長する一方、月々の購入額について来年4月以降、600億ユーロに減らすと発表。これを受けて、欧州債市場でポルトガルやイタリアを中心に国債相場が下落し、米債売りにつながった。この日のアジア時間では2.44%まで水準を切り上げた。

ECB理事会の政策決定に関する記事はこちらをご覧下さい。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、ECBの政策変更がグローバルな債券の過度なフラット化の修正に寄与すると指摘。「リスクオン(選好)の流れが途切れていないこともその流れを支える。日本では一足早く短中期債が利下げ期待をほぼはき出しているので、調整は全体というよりも超長期ゾーンが中心」と指摘。「政策全体として、購入ペースを落とすことで政策持続性を高めようとする点や、預金ファシリティー金利の制約を取り払うことで短中期の金利低下を促した点は、日銀の9月政策変更と通じるものがある」と言う。

  この日の東京株式相場は上昇。日経平均株価は前日比1.2%高の1万8996円37銭で引けた。一時は昨年12月以来の1万9000円台を回復した。

日銀国債買い入れオペ

  日銀がこの日実施した今月4回目の長期国債買い入れオペは、残存期間「1年超3以下」が4000億円、「3年超5年以下」が4200億円、「10年超25年以下」が1900億円、「25年超」が1100億円と、いずれも前回と同額だった。

日銀の長期国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。

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