8日の東京外国為替市場でドル・円相場は下落し、一時1ドル=113円台前半まで水準を切り下げた。欧州時間に欧州中央銀行(ECB)の政策委員会を控えて慎重姿勢が強い中で、前日の海外市場でドル売り・円買いが優勢となった流れが続いた。

  ドル・円は午後3時35分現在、前日比0.2%安の113円50銭。午前に付けた113円86銭から、午後に入り113円13銭と3日ぶりの安値を付けた後は下げ渋った。ドルは主要通貨の大半に対して下落。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.2%安の1238.38と11月17日以来の水準まで低下し、同時刻現在は0.1%安の1239.95。

  バンク・オブ・アメリカ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、ドル・円の下落について「ECB前であり、年末前でもあり、新しいポジションが取りづらい。そういう中で、逆にコストの良くないポジションを落とす動きが出たのかもしれない」と指摘。もっとも、「トランプ次期政権への期待を基にした相場付きが変わったわけでもなく、本邦勢は買い手の方が大きい状況が続いており、下値は限定的」と語った。ECB会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)といったイベントを控えて、目先はレンジ推移が続くとみている。

  8日の東京株式相場は3日続伸。TOPIXは前日比22.07ポイント(1.5%)高の1512.69と約11カ月ぶりに1500ポイントの大台を回復して取引を終えた。前日の米国市場で、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は過去最高値を更新。一方、米長期金利は5ベーシスポイント(bp)低下の2.34%で終了した。

  JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は、「ドル・円の上昇モメンタムは減退している。米金利低下を受けてドル高の流れが弱まっている」と説明。一方で、「円が弱い面もあり、下もない。円ロングポジションの巻き戻しが進み、ほぼ一巡している。円安圧力も減退しているものの、円ショートが積み上がっている訳ではない」と語った。

  同時刻現在のユーロ・ドル相場は0.1%高の1ユーロ=1.0767ドル。一時1.0785ドルと2日ぶりの水準までユーロ高・ドル安に振れた。ECBはフランクフルト時間8日午後1時45分(日本時間同9時45分)に金融政策を発表する。ドラギ総裁はその45分後に記者会見する。

ユーロ紙幣
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  みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、「テーパリングするメリットはない。そもそも現状としては景気も鈍化しいる。インフレ率も2%には達していない。そうであれば緩和を縮小する必要性はない。それをにおわすのはECBのメーンストリームの考え方でない」と述べた。

 
  JPモルガン・チェース銀の棚瀬氏は、ECBについて、「800億ユーロの資産買い入れ期限を6ヵ月延長すると予想している。弊社の予想通りであれば若干ハト派と捉えられ、欧州金利が低下し、米欧金利差が拡大し、ユーロ・ドルは下落する方向」と指摘。半面、「ユーロショートが積み上がっているので、短い期間延長やテーパリング(買い入れ額縮小)、政策変更なしなど、タカ派の結果となれば、欧州金利が上昇し、米欧金利差縮小、ユーロ・ドル上昇という反応となるかもしれない」と語った。

  11月の中国貿易統計で輸出入がともに市場予想を上回ったことを背景に、資源国通貨が上昇。オーストラリア・ドルは対米ドルで一時1豪ドル=0.7508米ドルと、11月16日以来の高値を付けた。

  ニュージーランド・ドルも対米ドルで一時0.8%高の1NZドル=0.7223米ドルと、11月11日以来の高値を付けた。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)のウェブサイトによると、ウィーラー総裁は8日の講演で、力強い景気拡大を背景に、インフレ率を目標の2%に回復させる上で金利は十分低い水準にあるとの見解を示し、利下げ打ち止めの可能性を示唆した。同中銀は2015年6月以降、7回の利下げを実施している。

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