日本の企業はいまだ男社会で、有能な女性でも「かわいい女の子」を演じる傾向にある--。

  首相夫人の安倍昭恵さん(54)は先週のインタビューでこんな見方を披露した。日本の男性は「すごく有能でバリバリ働いている女性よりは、何となくかわいらしい女性を好む傾向」にあり、女性も「男性が良いなと思う女性を演じる傾向にある」という。その結果、「すごくできる女性でもかわいい女の子を演じてしまうところがある」と話した。

安倍昭恵さん
安倍昭恵さん
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  安倍晋三政権は働く女性を増やし、経済成長につなげようという「ウーマノミクス」を推進。女性管理職の割合を30%に引き上げることを目標に掲げているが、道のりは険しい。帝国データバンクが7月に全国2万社以上を対象に実施した調査によると、女性管理職の割合は平均6.6%と前年に比べ0.2ポイントの上昇にとどまった。

  昭恵さんは、自らが社会人になった1980年代前半と比べると、女性の選択肢が広がったと実感。最近は育児を積極的に関わる「イクメン」も登場しているが、企業で女性の立場や役割の変革はまだ十分とは言い難いと見ている。特に大企業では、「男性と女性が一緒に働いていくというよりも、男社会なのかなという感じがする」と話した。

  もっとも「男性と同じような働き方、偉くなるのが良いみたいなのは私の感覚とは違う」とも話す。政府の働き方改革にしても、夜遅くまで残業する従来のやり方ではなく、「短い時間の中でも効率よく女性の今までにない視点が入っていくような、そんな活躍をしてもらえたら」と期待を込める。

  資生堂などの社外取締役も務める石倉洋子・一橋大学名誉教授は、日本ではまだ男性支配が続いている業界が多く、柔軟な働き方が今後の変革の鍵になるとみる。諸外国では働くスタイルが大きく変化しているが、日本ではテクノロジーが大きな変革の原動力として認識されていないため、諸外国にやや遅れていると指摘。将来のニーズに合わせて働くスタイルを変えることができれば、それは取締役会の女性割合をただ語るより重要だと話した。

女性の視点

  結婚前に広告代理店の電通に勤務した昭恵さんは、「女性の視点が入っていた方が良いものが生まれてくるし、経済にも良い影響があると思う」と語る。

  東京で居酒屋を経営するほか、首相の地元・山口県下関市で無農薬米を栽培。農水省の「農業女子プロジェクト」にも関わっており、農業に従事する女性の視点で自動車、化粧品、肌着を扱う企業などと商品開発も行った。女性の発想がこれまでにない商品につながったと感じている。

  今の安倍内閣に女性閣僚は、稲田朋美防衛相ら3人。昭恵さんは、自身の政界進出については「全く関心がない」というが、政治の世界でも男性の視点だけで政策立案するのではなく、女性の意見を取り入れることが必要で女性議員を増やす必要があるとの考えも示す。ただ、「女性同士も意外と足を引っ張り合うこともある」ため、多少意見は違っても「女性だから手を取り合っていこうというふうになれば」と語った。

  総務省の労働力調査では、女性の労働力人口は2015年は2842万人となり、1985年からの30年間で約2割増えた。男女共同参画白書によると、共働き世帯は80年以降に増加。特に97年からは専業主婦世帯を上回り、その差は年々拡大している。

 

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