自民党の下村博文幹事長代行は、米大統領選でのトランプ氏勝利を受けた為替相場の動向について「これ以上は円安にならないことを願っている」と懸念を示した。5日、ブルームバーグのインタビューで話した。

  米大統領選前日の11月7日に1ドル=104円台をつけていたドル・円相場はトランプ氏が勝利した後、急速に円安が進行。インタビューを行った12月5日午後は113円台後半、同7日午後2時35分現在は114円30銭前後で推移している。

  下村氏は、日本が原子力発電所の運転停止に伴い大量のエネルギーを石炭、石油などの化石燃料の輸入に頼っている現状を指摘。「あまり円安が進むと輸入価格も高くなる」と述べ、海外から資材を調達している中小企業に影響が出るとの認識も示した。

  トランプ氏勝利後に株価が急伸したことについては「誰も予想していなかった」と発言。トランプ氏はビジネスにおいて成功を収めてきたと述べた上で、1月20日の大統領就任後も「市場の期待通りに経済を運営してくれることを願っている」と話した。TOPIXは11月9日の終値で1301.16まで下落したものの、その後は上昇に転じ、12月6日の終値は1477.20。

トランプ大統領

  下村氏は第1次安倍晋三政権で官房副長官、第2次安倍政権以降も文部科学相、自民党総裁特別補佐などを歴任した安倍首相側近の1人。

  11月の大統領選でトランプ氏が勝利した背景には、移民に仕事を奪われたという意識を持つ白人貧困層の既存政治への反発があったと下村氏は分析する。「日本も学ぶべきことがある。日本国内で進行する格差を何とかしないと、自民党もうかうかしていられない」と述べた。厚生労働省によると、1989年時点で19.1%だった非正規雇用者は、15年には37.5%まで増加した。

  トランプ氏は2日、自身のツイッターで、台湾の蔡英文総統から大統領選勝利の祝意を電話で受けたことを明らかにし、中国側から抗議を受けた。下村氏はこれについて、「驚いている。中国側からするとけんかを売られたようなものだ」と発言し、トランプ氏を「一筋縄ではいかない戦略性を持った人だ」と論評。ただ、米国が台湾を国と認める段階までいくと台中間の緊張を高め、「台湾にもプラスにはならない」と話した。

  下村氏は、トランプ氏が環太平洋連携協定(TPP)の代わりに求めている2国間の貿易協定に関して、「それはTPPが発効してからの話だ」と消極的な姿勢を示した。TPPは共通の価値観を持つ国同士で新たな枠組みを作るための協定だとして、「決して米国にとってもマイナスにはならない」と述べた。

  一方で、トランプ氏が表明している法人税の大幅引き下げについては「各国が法人税の引き下げ競争を始めたら、結果的には自国の首を絞めることになる。国際的な枠組みでの話し合いが必要だ」と懸念を示した。  

  アベノミクスについては、金融、財政政策はこれまで一定の効果を上げてきたが、地方にまで景気回復の実感が及んでいないとの見方を示した。「金融政策も財政政策も限界がある」として、これからは科学技術分野の強化を中心とした成長戦略の推進が必要だと訴えた。

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